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話題のクリエイティブ そのアイデアとロジックを公開

企画書はプロセスを具体で共有する道具

東京都交通局「都営バスで巡る『地形テキストラリーGPS』」

四「谷」駅停留所、溜「池」停留所、羽「沢」停留所、「野」方駅北口停留所・・・など、都営バスの停留所にはさまざまな地形を表す名前が付いている。東京都交通局は2020年、その地形由来の文字を集めるというユニークなスタンプラリー「地形テキストラリーGPS」を実施した。「内側から都営交通を見つめ直す」ことを第一に考えられた企画は、“バスで東京の地形を楽しむ”という当初の企画からブレることなく、実現された。

実際に展開された「地形テキストラリーGPS」。アプリにせず、サイトにアクセスする仕様にしたことで、普段ゲームをしない人へのハードルを下げた。

内側から都営交通を見つめ直す

これは2016年にスタートした東京都交通局(以下、都営交通)の情報発信プロジェクト「PROJECT TOEI」の一環として企画されたもの。プロジェクト開始後、都営交通ではマグナム・フォトの写真家による写真集の刊行、都営地下鉄の駅ごとに異なる壁や天井、床のディテールをモチーフにしたチョコレートの発売、六本木駅構内での写真展など、ユニークな企画を送り出している。「都営交通のバックヤードを撮影したり、駅をモチーフにチョコレートをつくったり、いずれも都営交通そのものに興味や愛着を持ってほしいというところから始まっています」と、電通 コピーライター 高木基さん。

都営交通のVIのリニューアルに始まり、これらの企画は、高木さんと同アートディレクター 塚本哲也さんが中心になって進めてきた。「よそから何かを借りてくるのではなく、都営交通の内側からその魅力を発見してつくるよう心がけています。その伝え方として、純然とした広告も制作していますし、広告ではないかたちも、その方がより都営交通の魅力を表現できる場合はそうしています」(高木さん)。

毎年、企画を立てる際に意識しているのは、「内側から都営交通を見つめ直す」こと。その指針のもと、年度初めの4月頃に複数の企画を提案している。その中から都営交通と共に案を詰めていき、決定したひとつが「地形テキストラリーGPS」である。

今回、高木さんと塚本さんが着目したのは「地形」だ。「“バスで東京の地形を楽しむ”というのは、二人とも何度か出しては消えを繰り返していた企画でした。普段意識しない地形ですが、そこに目を向けると、実は東京都民にとって重要なファクターが色々と見えてきて。それを学んだり、楽しむ手段として、バスは有効だと考えました。でも、表現方法がなかなか定まらなかった …

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