編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
宇野常寛『遅いインターネット』
(幻冬舎)
- 装丁/トサカデザイン(戸倉巌、小酒保子)
宇野常寛さんによるWebマガジン「遅いインターネット」のローンチと同じくして、書籍が発刊された。「著者と編集者からは、シンプルで高貴な印象の装丁にしたい。同時にWebもあるので、そのロゴを使ってほしい、というお話がありました」と、デザインを手がけた戸倉巌さん。
ロゴがあしらわれているカバーを外すと、潔いほどのブルーで覆われた本が現れる。「原稿を読み、シンプルに綺麗な印象の本にしたいということ。また、新たな試みに向けての決意表明の本だと思いましたので、何か存在感を出したいと考えました」。
そこで、戸倉さんはハードカバーを提案。さらに、紙も風合いのあるマーメイドを選択した。また、Webマガジンのイメージを踏襲し、白とブルーの組み合わせに。「カバーを白地にしたこともあり、ほかの部分でWebマガジンをイメージできる色を印象付けたいと思い、表紙をブルーにしました。そのブルーも3パターンの色校正を出して決めました。ロゴは宣伝色を無くすべく、あえて控えめにしましたが、それ以外の部分で本の存在感を上げていきました」。発売後、SNS上では表紙のブルーの美しさに反応した人が見られたという。
PACKAGE
巴裡 小川軒
- AD/井上庸子
- PR/川村伸
元祖レイズン・ウィッチで知られる巴裡 小川軒が焼き菓子のアソートギフト用の箱をリニューアルした。これまで通りの貼り箱だが、従来より蓋が深くなり、ピンク色に。そして、蓋の側面にコーヒーブラウン色の箔で店名を記した。その箱に茶色いリボンを縦にかけて完成する。
今回リニューアルした背景には、「ラッピングにおける作業量を軽減したい」という巴裡 小川軒の希望があった。同店のラッピングは通常、箱に薄紙を引いて焼き菓子を並べ、さらに箱には包装紙とリボンをかける。「丁寧さは小川軒にとって大きな財産です。丁寧さを失わず、そこで作業の軽減化を図ると同時に、汎用性のあるパッケージのかたちをさまざまな方向から検討しました」と、デザインを手がけた井上庸子さん。
手数を減らすために井上さんが提案したのは、包装紙をやめ、直接リボンをかけられる箱のデザイン。「新橋と目黒の店頭のみでお菓子を販売している小川軒なので、主張のあるデザインは必要ないと思いました」。
箱には同店が以前より使用していた桜色に近い、アラベールのプロムローズを採用した …