
田中さんが学生時代に手に入れた1985年に発行された『超芸術トマソン』(白夜書房)。
電通で広告企画・制作の仕事をするかたわら、現代美術の作家として作品を発表し続けています。そんな僕ですが、高校生時代は、大学で生物行動学を専攻するか、美術を専攻するかで迷っていました。当時、バイオテクノロジー全盛期だったんですね。自分は生物をただ観察しまくって気づいたことに光を当てる人になりたかったので、人の都合で生物をつくるのは違うと感じました。それなら、人は人らしく何かをつくればいいと考え、生物行動学は選ばず、美大に行くことに。そのころ古本屋で出会ったのが赤瀬川原平さんの『超芸術トマソン』(白夜書房1985年)です。
トマソンは、デザインではなく美術の範疇にあるものですが、赤瀬川さん自身が一からつくった作品というわけではありません。例えば四谷にあった「無用階段」と名付けられたもの。これは路上に設えられた、純粋に昇り降りするだけで、昇った先には壁しかない階段です …
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