赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
スマートフォンで音楽を再生すると、歌詞をモーショングラフィックでモニターに表示する。そうした機能を持つ「リリックスピーカー」を初めて見たとき、これから何かが変わっていく、そんな未来を感じました。プロダクトとして美しいのはもちろんですが、これはアーティストが喜ぶプロダクトになるなとも思いました。というのもレコードからCDに変わって以降、存在感が薄れた歌詞カードを、これまでにない形で再現しているからです。
アーティストにとって歌詞は、ファンへの「手紙」のようなもの。僕もかつては歌詞カードを見ながら音楽を楽しんでいました。リリックスピーカーは世の中から消えゆくもの(歌詞カード)をモーションタイポグラフィを使って新たに表現した上に、歌詞を可視化するという新しい価値をつくりあげた。スピーカーとして音楽を聴かせるということだけではなく、歌詞というアーティストのメッセージを伝えるコミュニケーションツールとして大きな役割を果たしたと思います。
このプロダクトを開発したメンバーは僕の博報堂時代の同期でもあり。構想段階から話を聞いており、「そんなものができたらすごいな」と言っていたのですが、実際できたものを見て衝撃を受けました …