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社会のインフラにつながる課題の発見と製品・技術開発

「CLEAN BOX/Ideaboard(R)」中西金属工業

モーターなどの回転する部分に使われる軸受(ベアリング)。その中核部品である“リテーナー”で世界トップレベルのシェアを誇る中西金属工業。2019年に同社の生ゴミやオムツなどを凍らせて保管する家庭用冷凍ゴミ箱“CLEAN BOX”がグッドデザイン・ベスト100に選出、軽量性と耐久性を両立したシンプルな一枚板のホワイトボード“Ideaboard®”がグッドデザイン賞を受賞した。

創業時のDNAを次の時代に進化させる

これらの製品を開発したのは、2017年4月に同社内に発足したデザインによる事業開発チーム“KAIMEN”だ。発起人である社長付 戦略デザイン事業開発室 KAIMEN室長 長﨑陸さんは「チーム名は2つの異なる物質が接している境界を指す“界面”から取っています。3年間で、デザインシンキングで世の中の課題を解決するビジネスをデザイン、プロトタイピングし、成果を出すという社長との約束のもとスタートしたチームです」と話す。長﨑さんと森井啓太さん2人の社員を中心に、インダストリアルデザイナー、弁理士などの10人以上の外部パートナーと共に動いている。

KAIMENが製品を企画・開発する際に、意識しているのは、“中西金属工業のDNA”だ。

「弊社は1924年に京都のかんざし屋からスタートした会社です。創業当時、かんざしは女性のステータスを表すものでした。創業者の中西は、車を所有することがこれからの時代のステータスを象徴するものになると考え、自動車にも使われるベアリング・リテーナーの取り扱いを開始。かんざしで培った金属加工技術を活かして、会社を急成長させました。現在も鉄道や住宅など、社会のインフラといえる産業に携わっています。かんざしから車へと事業を移行したように、KAIMENでは次の時代のステータス、社会のインフラになりうるものは何か、と考えながら社会を観察して、常に課題を探していたんです」(長﨑さん)。

ゴミの臭い問題をアップデートする

長﨑さんが目を付けたのは家庭のゴミの臭い問題だ。ベルメゾンデッセの調査によると、約4700人の主婦のうち17%が夏場にゴミ収集の日までゴミを冷凍庫に入れた経験があるという。「さらに外に目を向けてみると、奈良の駅には『介護オムツをゴミ箱に捨てないで』と貼り紙がありました。罪悪感がありながらも、ゴミの臭いを嫌い、都合のいい場所に押し付けている現実が見えてきました」。長﨑さんはこうした家庭における問題を解決することが、新たな社会インフラにもつながるのではないかと考え、製品開発をスタートした。

そして解決の手段として閃いたのが、冷凍ゴミ箱だ。ゴミを凍らせることで臭いを抑え、さらには虫の発生や腐敗を防ぐことができる。2017年10月に市販の車載用冷凍ゴミ箱をもとにプロトタイプを制作し、テストマーケティングを実施。「ある子育て中の夫婦は、以前は溜めていたオムツの匂いが強烈すぎて、捨てる役を押し付けあっていたそうですが、これを使ったところ悪臭もしないし、凍ることで生温かさがなくなり手触りもシャリッとして気持ち悪くないので、お互いが気軽に捨てるようになったそうです。これは生活の流れを変える製品だと確信しました」。

開発では、静音性とリビングやキッチンに置きたくなるコンパクトなサイズにこだわっている。CLEAN BOXは技術的には冷凍庫と同じだが、冷凍の性能を維持したままサイズをコンパクト化。さらに、冷凍庫特有のブーンという音を最小にするために、何度も検証を重ねた。また、あくまでゴミ箱ということでで、温度や電源のオンオフの表示、自動開閉など電子的なギミックは一切省いている。安全性にも配慮し、排熱穴を底面に集約。子どもが誤って手を差し込まないようにした。

家庭用冷凍ゴミ箱“CLEAN BOX”。内カゴは簡単に取り外して、丸洗いできる。

技術を社会のインフラに活用していく

もう一つの製品、Ideaboard®は長﨑さんが大学の研究機関で働いていたときに、学生や研究者のホワイトボード使用方法の観察を重ねた経験から生まれた。ホワイトボードは場所を取る上に、脚の稼働領域の自由度も低い。通常のものに比べ、Ideaboard®は、高さ1800mm、幅900mm、厚さ12.3mm、重量が4.8kgと、非常に薄く軽い製品。また、足も取り外し可能で、壁にたてかけたり、机の上に置いたりと用途に合わせて使うこともできる。

「軽さを追求するとみすぼらしくなり、しっかりしたものをつくろうと思うと重くなります。Ideaboard®はそのバランスを調整し、非力な人でも一度に2−3枚は持つことができて、なおかつ十分な耐久性があるものにしたいと考えました」。

そこで選択したのが、複数の材料を張り合わせたホワイトボード面のまわりを硬質ウレタンの枠で囲い、一体成型する方法。それによって軽く、湿気の侵入による反りも軽減することができる丈夫なボードを実現した。

CLEAN BOXは2019年11月に100台限定で販売を開始したが、既に初回分は完売。増産については現在準備中だ。「CLEAN BOXの好評な売れ行きから、臭い対策だけでなく、“低電力で、局所的な空間を冷やすテクノロジー”が社会のニーズとしてあることが確信できました」。同社ではこの成功事例をもとに、今後も新たな技術開発に取り組み、いずれはtoBビジネスとして社会のインフラまで成長させることできればと考えている。

シンプルかつ軽量な一枚板のホワイトボード“Ideaboard®”。立てても倒して机の上に置いても使用できる。

    cleanbox審査員講評

    高齢化が進む中、このゴミ箱は、介護する側だけでなく、介護される側の心理的負担も軽減するでしょう。庫内の温度を家庭用冷凍庫より高い-10度に設定し、水分は凍らせながらも消費電力を抑えた点も巧みです。不自然さや角張った違和感がなく、生活空間に置かれる製品として、誠実にデザインされています。BtoBビジネスを得意とする企業が、デザイン主導で新しいコンセプトを製品化し、消費者に直接問うてみるという、開発プロセスにも評価が集まリました。

    プロダクトデザイナー/GEN SUZUKI STUDIO 代表
    鈴木 元(すずき・げん)

    ideaboard®審査員講評

    近年増加するコワーキングスペースなどの多様な環境に対応する、軽やかで機動力のある製品です。書くだけでなく貼る対象としての可搬型ホワイトボードで、ワークショップや屋外での使用など、今日の豊かで生き生きとしたミーティングスタイルを想像させます。抱えて運べる軽さや重ねて収納できる薄さ、貼るための縦型大面積などは、既存のホワイトボードでは主たるニーズではなかったもので、使用環境や行動がプロダクトを進化させた好例と言えるでしょう。

    ライティングデザイナー/LEM空間工房 代表取締役
    長町志穂(ながまち・しほ)

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