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製品だけではなく、会社のこれからの姿もデザインしていく

富士フイルム CLAY スタジオ

富士フイルムは、「2019年度グッドデザイン賞」において大賞、金賞4件を含む、トータル32製品が受賞している。これらのデザインを生み出しているのが、2017年5月に西麻布に設立された同社のデザインセンター「CLAYスタジオ」だ。

CLAYスタジオの皆さん

デザイナーのモチベーションが高まる場

CLAYは富士フイルム執行役員/デザインセンター長の堀切和久さんが「新しく富士フイルムをデザインするためにデザイン組織単独のクリエイティブな環境を作り、デザインをジャンプさせたい」と考えて生まれたもの。本社に近い場所にある1棟の建物を丸ごとスタジオとし、同社のデザイナーはここで仕事をしている。CLAYは製品やサービスを扱う事業部、研究所、外部クリエイター、アーティストなどとのコラボレーションを通じて、富士フイルムの新たなイノベーションを生み出す活動の拠点として機能している。

スタジオ設立から2年半が経過し、本年度のグッドデザイン賞では32製品が入賞という高い評価を受けたが、堀切さんは「CLAYは何も変わっていない」と言い切る。

「メンバーも設立時のままで、どの製品もすべてインハウスでデザインしています。普通は2年半も経過すれば、良くも悪くも変わるものですが、このCLAYという環境があることで、デザイナー一人ひとりのモチベーションが常に高い状態にあります。デザイン1stでどんな仕事の中にも、一人ひとりがイノベーションを作り、そこを頼りにされたり、評価されるようになると、もっと先を目指そうというループが生まれる。その繰り返しで、当初の鮮度が失われずに"クリエイティブな場"として機能し続けているのではないかと思います」。

大賞発表の場で、柴田文江審査員長は「富士フイルムの中で、すごい共振が起こっているのではないか」と話していた。そのことについて、堀切さんは「トップから現場までが一体となり、変化や失敗を恐れずに、医療機器や化粧品など新しい領域に取り組めたことが大きい」と分析する。

「インハウスの場合、デザイナーと会社の元気のよさは比例します。その中で、デザイナーは製品・サービスを通して、会社の姿勢を可視化していく役割を担っていると考えています。こうした受賞もデザイナーの力だけではなし得ることはできず、事業部や研究所などのメンバーの協力があってこそ。会社全体が元気で、新しい領域にチャレンジできた結果として、今回の受賞があるのだと思います」。

大賞を受賞した「結核迅速診断キット」(*1)や、発売以来約20年が経過する独自の防振技術テクノスタビを搭載した防振双眼鏡[Techno-Stabi TS-X1440](金賞)は、まさに"会社の元気の良さを可視化"した製品だろう。「派手なホームランを打っているわけではなく、以前から社内にある技術を使って、マーケットを見極めて、一つひとつのベース(ハードル)をものにした結果、ランニングホームランに繋がったという感覚です」。

(*1)「結核迅速診断キット」は、結核とHIV患者が多い開発途上国に向けて開発しており、日本での発売予定はなし。

本年度グッドデザイン賞を受賞した富士フイルムのプロダクト。

製品を通して富士フイルムという企業を伝えていく

堀切さんはCLAYのフィロソフィーを「誠実なデザイン」に定め、今後は「多くの人々の共感を得て、人々の記憶に残るデザイン」を目指している。

「これだけの幅広い製品領域があると自分自身がユーザーになれないものもあります。だからこそ、個人の趣味嗜好だけに走ってはいけません。"誠実"と聞くとクリエイションとはかけ離れた堅い印象を受けますが、型破りは型があるから破れるものです。医療や化粧品など、さまざまな分野の型を学び、それが本当に正しいか精査したうえで、言語化されていない課題やユーザーの声に応えられるよう誠実にデザインを考えていくことを大切にしています。それが人々の共感を得たり、後々までも残るデザインになっていくと考えています」。

その結果として、富士フイルムとして統一されたデザインの世界観ができあがっている。「形や色に共通したものがあるわけではありませんが、弊社のデザインの"匂い"がどこかに感じられるのだと思います。それはこのフィロソフィーをデザイナー全員が理解しているから。どの製品もトリッキーなことはしませんし、どんなアプローチをしようとも最後はユーザーの幸せに繋がる必要があります。ただ、その過程が一本道だと面白くないので、デザイナーそれぞれが自由な道のりを選べるようにしています」。

2019年10月には、アクシスギャラリーでCLAYの活動を紹介する展覧会も開催した。「製品だけではなく、プロセスや考え方など、広い意味でのデザインを考えています。そのためにも常にイノベーションを発信していきたいし、デザイナーという天職を生かし、みんなで楽しみながら企画を考えていきたい。デザイナーが楽しんでいるかどうか、それは製品のデザインに確実に反映されますから。そして製品だけではなく、富士フイルムという会社のこれからの姿をデザインし、世の中にきちんと伝えていくことも、CLAYの使命と考えています」。

同社デザインセンターの拠点であるCLAYスタジオ。

2019年10月に六本木・アクシスギャラリーで開催した「富士フイルム 未来のデザイン図鑑」展。

グッドデザイン賞受賞展での展示。

富士フイルム
執行役員/デザインセンター長
堀切和久さん

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