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2020年代のアートディレクション

ワクワクや感動の先に次にやるべきことが待っている

三澤 遥(日本デザインセンター)

竹尾ペーパーショウに始まり、2018年に開催した個展「続々|三澤遥」、2019年に参加した「虫展-デザインのお手本-」などで話題を集めた三澤遥さん。グラフィックデザインという範疇にとどまらない柔軟な発想で、まだ見ぬものへのチャレンジを続ける三澤さんのものづくりの考え方について聞いた。

日本デザインセンター 三澤 遥(みさわ・はるか)
1982年群馬県生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業後、デザインオフィスnendoを経て、2009年より日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。主な仕事に、水中環境をあらたな風景に再構築した「waterscape」、飛行する紙のかたちを研究する「散華プロジェクト」、takeo paper show 2018「precision」への出品作「動紙」、「UENO PLANET」、KITTEやTOKYO BIG SIGHTのVIがある。

モノを通じて見る人を説得する

──三澤さんはnendoなどでキャリアを積んだ後、日本デザインセンターに入社されています。

実は大学時代に入りたかった会社の一つが、日本デザインセンターでした。原研哉さんの存在を知り、著書を読み、原さんの下で働いてみたいと思っていました。当時、会社説明会にも行ったのですが、私は工芸工業デザイン学科インテリアコースを専攻。グラフィックに対する知見があまりにも浅はかだったので、そのときは諦めてしまったんです。

4回目の転職で原デザイン研究所に入ったのですが、それ以前の20代はずっと“修行”をしているような気持ちでした。何をやっても褒められず、叱られてばかり。かなり頑張らないといけないレベルだと、自分に言い聞かせていました。だから、とことん働ける会社に入って、他の人よりも多く経験を積まないと、自分の場合、デザイナーにはなれない、もっと言うと未来がないと。その危機感こそが原動力でしたね。

──原さんのどのようなところに惹かれて、一緒に働きたいと思ったんですか?

原さんのデザインはもちろんですが、同じくらい“繋げていく力”に憧れていました。これは面接で本人にもお話したことがあるのですが、展覧会全体のストーリーを考えて企画し、什器や空間に浸透させ、それを書籍にも落とし込む。さらには発表会やPRも行うなど、全てを一気通貫して手がけられていた。それが魔法のように見えて、どうやってできているんだろう…?と興味がありました。

私の入社当時、原さんは竹尾ペーパーショウなど展覧会のディレクションを多く手がけられていました。私は、展覧会のサポートが最初の仕事でした。その準備のために倉庫で2週間ぐらいにわたり検品を続けることもありましたね。

一体自分は何の仕事をしているんだろうと考えてしまう瞬間もたまにはありましたが、これだけ丁寧にすべてをやるから、あのクオリティの高い展覧会ができあがるんだ、ということを身をもって体験させていただきました。展覧会は無言のコミュニケーションで、モノを通じて観る人に理解してもらわなければいけない。だからこそ、あそこまで準備する必要があるということを、仕事を通して教えていただきました。

──三澤さん自身も、竹尾ペーパーショウで作品を発表しましたね。

2014年6月に行われた竹尾ペーパーショウで、作品をつくらせてもらいました。原さんは展覧会に出展される作家お一人ひとりに、毎回丁寧に依頼のお手紙を書くんですね。部下の私には来ないだろうと思っていたら、なんと私にも届きました。そこには「大胆かつ繊細なところを生かし、周囲を気にせずにのびのびとつくってほしい」と書いてありました …

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