浴室で足を洗いながらマッサージができるフットブラシが売れている。家庭用品の企画開発から製造、販売まで手がけるサンパックが2017年に発売した「フットグルーマー グラン」だ。これまでのシリーズ累計販売数は、65万個を突破した(2019年9月現在)。

「フットグルーマー マニキューレ」をリニューアルした「フットグルーマー グラン」。研磨剤部分の色を蛍光オレンジと蛍光イエローに変更し、パッケージにも箔を使うなど、真似がされにくいデザインへと変更した。
類似商品とどう差別化を図るか
「フットグルーマー グラン」の特徴は、ブラシの先端に研磨剤がコーティングされていること。サンパック独自の技術で特許も取得している。研磨剤により足裏にほどよい刺激があり、継続して使うことで角質が除去され、血行促進やリラクゼーション効果も期待できる。健康への効果は大学の研究機関などで実証されており、データも公開している。
フットグルーマー グランは2012年から発売している「フットグルーマー マニキューレ(以下、マニキューレ)」の改良版で、色やパッケージ、売り方などを一新したところ、メディアに取り上げられ、売り上げが倍増。そのブランディングを担当しているのが、GRAPHの北川一成さんだ。
サンパックは大阪吹田市に本社を構え、兵庫県丹波市に樹脂製品製造の自社工場を持つメーカーだ。1996年に初のオリジナル商品として、フットブラシを発売。改良を重ねながらフットブラシという市場を開拓してきた。マニキューレは発売当初、テレビの通販番組で販売しており、知名度を上げた。東急ハンズでの取り扱いも始まり、フットブラシの市場が活性化。それに伴い、見た目がそっくりな類似品も出回るようになったという。
ブラシの先端に研磨剤をコーティングした商品は、マニキューレのみで、素材も使い心地も全く違った。しかし、見た目だけでは違いが分かりにくい。その上、類似商品の多くは3000円以下で安く、マニキューレは当時、6980円(税込)で販売しており「高い」と言われることも少なくなかった。販路も思ったように広がらず、売り上げも伸び悩んでいた。
そんな状況を改善するために、サンパックは機能性をより高めたフットグルーマー グランを開発。経営戦略も見直し、ブランディングに取り組むことにした。GRAPHが携わったのは、この時点からだ。商品の素材や形は変えられないという前提で、色やパッケージデザインを検討することになった。

ブラシの表面に石鹸をこすりつけ、風呂の椅子に座り、ブラシに足を乗せて前後に動かして足裏をマッサージする。
女性が好む色は本当にピンクなのか
サンパックは商品力に自信を持っていたので、発売当初から百貨店での販売を目指していた。それが実現できていなかったことについて、北川さんは「健康雑貨らしい佇まいであることが課題の1つ。データで実証された科学的根拠のある商品だと直感的に伝える必要があると考えました。女性向けの健康雑貨には、ピンク色がよく使用されていますよね。でも、本当に女性がピンク色を好んでいるのか、それも疑うべきだと思います」と話す …