2017年、「可能性創造」を掲げ、ブランドエンジニアリングスタジオ「EVERY DAY IS THE DAY」(以下、THE DAY)を立ち上げた佐藤夏生さん。これまでより戦略立案ではなく、ブランドの感覚を形にしていくことに重点を置くようになったと話す。
佐藤さんが考える「クリエイティブディレクション」とは?
その産業、企業、ブランドの
次の感覚を形にし、
社会に産み落とすこと。
課題解決から、可能性創造へ
──EVERY DAY IS THE DAYを設立して1年半が経ちますが、クライアントから求められるものやご自身の考え方に変化はありましたか?
THE DAYがテーマにしているのは「課題解決ではなく、可能性創造」。今までと変わっていないのは、クライアントの事業の川上から関係することくらいで、仕事の流れやアウトプットは大きく変わりました。産業、企業、ブランドそもそものレゾンデートル(存在価値)を今の時代に合わせていかにアップデートするか、課題を入り口にするのではなく、可能性をどうかたちにするかを考えています。
広告を作るだけではなく、クライアントと一緒に事業そのものを開発し、社会に実装するまでを手がけることが多くなりましたね。なのでアウトプットは、プロダクトや店舗、事業コンセプトなどさまざまで、形は決まっていません。僕はもともとクリエイティブディレクションとは、あらゆる領域で通用するものだと思っていましたし、その力をますます実感しています。
──現在のTHE DAYの組織は?
現在、メンバーは9人います。これまでの広告業界の流れを見ると、コピーライターとアートディレクターが組む時代があり、最近はCDとテクニカルディレクターが組むようになっていますが、うちではCDの僕とプロジェクトデザイナー 青山尋紀が組んで動きます。最終的な納品物の形が決まっていないことが多く、プロダクトであればプロダクトデザイナーと、空間であれば建築家というように、組む相手は毎回変わります。
そこで、アイデアを実装するまでのプロジェクトそのものをデザインする人として、プロジェクトデザイナーが必要になります。僕らはアイデアを出すだけではなく、場合によっては事業の立ち上げまでやるので、どういう風にお金が回って収益を出すのかまで考えないといけません。プロジェクトデザイナーは、人、才能の管理、お金、スケジュールなどかなり広義のプロデュース能力が求められます …