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新領域ビジネスをつくるクリエイティブディレクター

プロ×プロで「愛せる未来」をつくりだす

国見昭仁(電通ビジネスデザインスクエア)

「愛せる未来を、企業とつくる。」を掲げ、2017年にビジネスデザインの専門組織「電通ビジネスデザインスクエア」を立ち上げた国見昭仁さん。広告という領域を超えて、「企業の経営、事業、人事、総務などにこそクリエイティビティが必要だ」と語る。

電通ビジネスデザインスクエア エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクター
国見昭仁(くにみ・あきひと)

電通に中途で入社。2010年「未来創造グループ」を立ち上げ、さまざまな業界のリーディングカンパニーからベンチャー企業において、経営者とビジネス活性化プロジェクトを実施。2017年、未来創造グループを拡張し、ビジネスデザインの専門組織「電通ビジネスデザインスクエア」を立ち上げる。18年に導入された新制度により、役員待遇となるエグゼクティブ・プロフェッショナルに就任。

国見さんが考える「クリエイティブディレクション」とは?

社会における存在意義を
ディレクションすること。

企業の根っこに向き合う活動

──電通ビジネスデザインスクエアを設立した背景を教えてください。

前身である未来創造グループは、企業経営者の右脳を担おうと、社内ベンチャー的に4人のメンバーで2010年4月に立ち上げました。まだ広告をやっていた頃「この商品は広告費をかける以前に、商品そのものを変えたほうがいいんじゃないか」といった議論を時々していました。それでも僕らは広告が生業だから結局広告の提案をしていたわけですが、本当はもっと他に役に立てる場所があるんじゃないかと思って。

広告業界がこの先は順風満帆にはいかないことも見えていたタイミングでしたし、従来の広告と一度縁を切ってみようと思い、立ち上げたのが「未来創造グループ」です。2017年に「電通ビジネスデザインスクエア」と名称を変更すると同時に正式な局となりました。企業の活動には経営、事業、人事、総務と、さまざまな領域がありますが、クリエイティビティの力でその活動を面白くしている場が少ないと感じていたので、広告以外の領域でクリエイティビティを使って世の中を面白くするような仕事をしたいという思いが強くありました。

──当初、どんなことを目指しましたか。

最初は新規事業の専門家を目指そうかとも思ったのですが、仮にその会社の人材のモチベーションそのものが落ちていたとしたら、僕らがどんなに画期的な新規事業を提案できたとしても、結果的にはうまくいかない。そうなると、まずはインナーの活性化を進める必要性が出てくる。そうこう考えているうちに、全ての部門に責任を持っている経営者と向き合うしかないと考えるようになりました。僕らがこれまで培ってきたクリエイティビティを会社のあらゆる領域や社会の中で発揮していくために、経営者などトップ層と向き合おうと、「経営に、アイデアを。」というスローガンを掲げました。

その後、いろいろな経営者とお会いし、会社の未来について議論するところから始めました。最初の頃は経営者と議論した結果、「まずは社内の人材を活性化しよう」といったインナーに関する課題に着地することが多かったのですが、4年ぐらい前から「面白い新事業を立ち上げよう」という事業課題に着地することが増え、最近では経営のあり方を根本から考え直す経営企画系の話が増えています。

クライアントは目の前の悩みから中長期的な悩みまで、いろいろな悩みを抱えていますが、クライアントから相談されるのは多くの場合、目の前の課題。ただ、目の前の課題はクリアできても、より根っこにある本質的な課題をクリアすることには繋がっていないことが多い。なのでクライアントから受けた要望に、ただストレートに応じるのではなく、僕らも本質的な課題から考え直し、最終的に目の前の課題まで解決する方法を模索するようにしています。

「課題のクリエイティビティ」が一番大事で、そこがずれてしまうと、結果的によい方向には進まない。僕らは「北極星」と言っていますが、その企業の目指すべき北極星をまず再定義する。目指すべき北極星が見えてから、インナーや事業など、そのときにやるべきことを具体化していきます …

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