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UP TO WORKS

寅さんに、お帰りといえる日本でありたい

松竹/「男はつらいよ お帰り 寅さん」
ポスター

男はつらいよの新作に関われるとは思ってもいませんでした。50作目となる新作は今は亡き渥美清さんももちろん主演されます。寅さんをずっと待ちに待ってた方々、まったく寅さんを観たことのない世代を繋ぐ広告でなくてはならないと山田洋次監督と模索しました。歴代マドンナを一緒にコラージュしたりと試行錯誤を繰り返している時、一枚の写真のネガが発掘されました。以前映画スタッフさんがフィルムカメラで撮ったそのネガには、誰もがかっこいいと思える男が焼き付いていました。

山田監督は寅さんは情がもろく破天荒な男だが、それは渥美清さんそのものが知的で佇まいや所作に品格がある、つまり型があるから型破りが描ける稀有な存在だと日頃おっしゃっていました。この写真はまさにそれを一瞬で伝えることができる一枚です。大きく伸ばして壁に貼った瞬間、寅さんが今も生きていてこちらへ向かってくる、旅から帰ってくる、または旅を続けているのだと実感して涙がでました。この一枚、寅さんの存在そのものに向き合いポスターを制作しようと決意し、言葉の重要性を感じ佐倉康彦さんにコピーを依頼しました。

さくら繋がりでもある佐倉さんは寅さんをこよなく愛していて、コピーを沢山書いて下さいました。その言葉を山田洋次監督が丁寧にひとつずつご覧になり、みんなで寅さんについてはもちろんのこと、この先の日本についてをも話は膨らみました。「ただいま。この一言のために、旅に出る。」まさに、旅とは帰る場所があるから続き、それは家族というかけがえのない在り方を伝えます。今、この時代に帰ってくる寅さんは日本のスーパーヒーローであり多くの人にメッセージしてくれるのではないでしょうか。

寅さんに、お帰りといえる日本でありたい。そんな気持ちでデザインに取り組ませていただきました。細やかなところまで、まるで一枚の写真に宿る映画を演出するかのごとく山田洋次監督のご指導のもと、一緒に制作できた時間は宝物です。
(goen° アートディレクター 森本千絵)

  • 企画制作/松竹+goen°
  • CD/山田洋次
  • AD/森本千絵
  • C/佐倉康彦
  • D/高橋亮

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