カンヌライオンズ2019 グランプリ作品これで早わかり PART1
各部門でのグランプリ有力候補だったNIKE「DREAM CRAZY」を押さえて、BURGER KING「THE WHOPPER DETOUR」が三冠に輝いた今年のカンヌライオンズ。社会課題への取り組みがより顕著になっているが、従来のように問題提起にとどまらず、それを実行に移す企業が高く評価される結果となった。
時代の先を行く企業に学ぶ 世界のクリエイティブ
カンヌライオンズでは毎年、選出されるクリエイティブやテーマが変わっていく。その切り口、手法は、日本でクリエイティブを制作する上でもヒントになるものだ。そこで、カンヌライオンズに参加し、自分なりに作品の分析を行っている4人に、今年のキーワードとこれから日本のクリエイティブが考えるべきことを話してもらった。
17 BURGER KING/TWITTER BAIT(MULLENLOWE Boston)
2010年の商品の復刻版を発売にあたり、ソーシャルメディアのインフルエンサーが過去に呟いたその内容にバーガーキングが絡み始めた。なぜ?とインフルエンサーたちは困惑してつぶやくと、それが話題になり、結果として彼らは無意識のうちにバーガーキングのキャンペーンを促進することに。
嶋野:広告業界のカンヌライオンズに対する関心が下がったのが、ソーシャルグッドに注力し始めた頃。選ばれる広告が自分とは関係ないと、感じる人が増えた。
尾上:ヨーロッパの人たちが後進国の社会課題を題材に広告をつくった"出稼ぎソーシャルグッド"の時代ですね。
嶋野:今年は単純なソーシャルグッドではなく、企業が本来やるべきことであったり、セールスにも繋がっていて、単にいいことをやっているぜ、ではないものが増えました。
嶋:「THE TAMPON BOOK」をPRの審査委員長が評価したのも、話題になったというリザルトだけではなく、ビジネスとしてもリザルトが出ているから。
嶋野:LGBTがテーマのクリエイティブも、昨年まではファクトベースとフィクションが半々。でも、今年賞を獲ったのは完全にファクトベースのCMです。ジレット「First Shave」(18)は、性転換で男性となった人がお父さんと一緒に初めて髭を剃る瞬間を捉えています …