プロ・アマを問わず競うコピーバトル、C-1グランプリ。今回審査してくれたのは、2018年に大日本除虫菊のラジオCMシリーズ「金鳥少年 2017」でTCC賞を受賞した直川隆久さんと、その後輩で若くしてさまざまな広告賞を受賞する小池茅さん。そんなお2人が選んだコピーとは!?

(左)直川隆久さん(電通 2004年TCC入会)
(右)小池茅さん(電通)
出題テーマ149 「昼寝、アリだな」と日本社会に思わせるコピー
まず、2人の選んだものが全然重なりませんでした。なんで、と思いましたが、よくよく話すと、その言葉を誰に向かっていうか、のイメージが2人で違っていたようです。僕(直川)は「昼寝のメリットは知ってるけど、正式な導入に踏み切れるほどではない社会」ま、簡単にいうと「ホワイトな職場」をイメージしていたのですが、小池は「ブラック企業~限りなくブラックに近いホワイト企業」あたりをイメージしていた。たしかに、どういう意識段階の人に向けるか、で言葉のスタンスがだいぶ変わってくるのですね。そこからいろいろ二人で話して、以下のような結果になりました。
グランプリ
運動中の水も、今となっては当たり前でしょ。
西川仁(NEXCO西日本コミュニケーションズ)
<受賞者コメント>
今は当たり前だけど、昔は悪いとされていたものって?それを例に伝えるのが、一番良いんじゃないかと考えました。当たり前や常識ってあやふやで、その時の考え方や状況で変わるもの。昼寝も早く当たり前になりますように。
昔は「運動中に水を飲むとバテる」なんて言っていた時代があって、50代半以上の人にはその記憶があるはず。その年代の人が今社会で決定権のあるポジションにあることを考えると、この言葉は、とても納得しやすくて、機能的ではないかと思いました。同じアプローチの応募作がほかになかったこともグランプリの理由です。(直川)
準グランプリ 直川隆久賞
侍は、まめに寝る。
阿部衛
直川的には、このコピーがグランプリの対抗馬でした。実際に侍がしょっちゅう寝ていたかどうかはわかりませんが、戦上では寝られるときにはこまめに寝よ…みたいな兵法はいかにもありそう。フレーズとしてもキャッチーです。「侍」というと女性が圏外になりそう…という点で惜しくも。(直川)
準グランプリ 小池茅賞
Ctrl + S
崎山すなお
これは、(Windowsの)「保存」のショートカットキーです。作業に熱中していたらパソコンがフリーズして全部おじゃん…そうなる前に、途中で手を止め一旦「保存」は大切です。機械に向ける疑いの目とケアの精神を、人間にも!…とクドクド説明せずに、記号だけで表す投げっぱなしの潔さ・挑発的な姿勢。サイバーパンキッシュで響きました。(小池)
ブラック企業賞
こいつ、午後もがんばる気だな。
和田悟
「がんばる」という精神論が好きな集団で機能しそう、ということで選びました。日本の多くはまだそういう場所なのかもしれない。(直川)
ホワイト企業賞
課長、想像力研修いってきます。
丸山翼(アサツー ディ・ケイ)
意識高い系の会社では、こういう気のきいた言い方が機能するような気がしました。「寝る」の言い換えという観点では、一番うまいこと言ったコピーだったと思います。(直川)
財界に捧ぐ賞
その頃中国は、ちゃんと昼寝していた。
崎山すなお
日本の職場環境をかえていくには、やはり財界上層部の方々の理解が必要。で、財界にはやはり「国際競争力」かなと思い、これを選びました。同じ視点のコピーもほかにありましたが、フレーズとしてのキレで、こちらを。(直川)
Round153 テーマ発表!
サウナに行ってみたくなる、キャッチフレーズを。
<審査・出題のポイント>
ととのう、サウナー、外気浴…。独特のサウナ用語をちらほら耳にするこの頃。空前のサウナブーム到来か!?なんて声もあるほどです。そんな今だからこそ、このお題を選びました。週末サウナで汗を流さなければ、一週間が終わった気がしない。そんな僕みたいなどっぷりサウナ中毒者も、結局何がいいの?というサウナ懐疑論者も、思わず「サウナ、イキタイ」となるキャッチフレーズをお待ちしています。行き詰まったときには、ぜひお近くのサウナへ。汗といっしょに良いコピーもあふれ出る…かもしれません。
出題者

ライトパブリシティ
クリエイティブディレクター/コピーライター
山根哲也
1983年京都生まれ、2006年ライトパブリシティ入社。2015年TCC入会。主な仕事に、POLAリクルートフォーラム「この国は、女性にとって発展途上国だ。」、ホットペッパービューティー「キッカケなんか、春でいい。」、meiji THE Chocolateコンセプト開発など。2019年度TCC賞、Spikes Asia Silver、朝日広告賞 準グランプリなど受賞多数。
ゲスト

TOKYO
CMディレクター
泉田岳
2019年ディレクターとしてTCC賞を受賞。主な仕事に、docomo「新料金」、ホットペッパービューティー「春」、JCB「相棒のように」、ENEOSでんき「この顔を思い出してください」、大塚製薬ボディメンテ「出社」、BASE/TVCMシリーズなど軽快な会話劇の中に垣間見える人間の暖かさや弱さが描かれた演出が得意。
C-1グランプリ 応募受付ウェブサイト
https://www.sendenkaigi.com/c-1/
※応募方法を必ずお読みいただいてからご応募ください。
応募についての注意事項
今月の応募〆切 8月25日(日) 18:00〆切
※〆切直前には応募が殺到し、サイトへアクセスしづらくなる可能性があります。入力中に〆切を過ぎてしまわぬよう、必ず余裕を持ってご応募ください。
機器の不具合によるシステムダウン以外につきましては、一切の責任を負いかねますので、予めご了承ください。