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宙に浮かび上がる光の壁を作る リング状のレンズ

坂本洋一(ライゾマティクス)

今年4月、「ミラノデザインウィーク2019」にて、LEXUSは光をテーマとした作品を展示し、話題を集めた。そこで使用されたのが、三井化学の光学計算技術を使って制作された、これまでにない形状のレンズだ。

坂本さんが三井化学、アークと共に制作した数々のレンズ。

没入感を体感できる展示空間を演出

ミラノで開催された「LEXUS DESIGN EVENT 2019-LEADING WITH LIGHT」で、本年度コラボレーショデザイナーとして参画したのは、ライゾマティクスである。LEXUSのブランドフィロソフィーである「Human centered」を全体のテーマとした本展。

メインフロアを抜けた先の、高さ4メートル、奥行き15メートルの真っ暗な空間では、天井から3つの照明が吊るされていた。フォグが満たされた暗闇の中でそのLEDが光を放つと、光の壁が浮かび上がる。時にはドアが開くように見え、時には鑑賞者をも包み込み、ダイナミックな空間体験を生み出した。この展示に使われたLEDライトに取り付けられたレンズは、三井化学の光学計算技術を使って新たに制作されたものだ。

1年以上前から、ライゾマティクスリサーチ ハードウェアエンジニア 坂本洋一さんと三井化学は新しいレンズの開発に挑んできた。「プロジェクターやレーザーが放つ光では実現できない没入感が得られる空間を作りたいと思いました」。その可能性を探り、三井化学とそのグループ会社で光学設計を得意とするアークの技術を使ってレンズを試作。思い描いた光の見え方を探求した。

坂本さんはゼロからレンズそのものを考え直し、光の屈折率、形、拡散の仕方などを試行錯誤した結果、生まれたレンズは拡散度1.39度。市販のレンズに比べるとかなり狭く、光を拡散することなく集光して平行に飛ばす。さらに、このレンズをリング状に加工することで、光の線を一方向に放つのではなく、壁のような光の面を作り出すことに成功した。

「自分でレンズを作ることは難しいけれど、三井化学さんとアークさんに協力いただいたことで、レンズ設計を基にした空間体験をもっと探求してみたい気持ちになりました。空間の中での光の使い方に新たな可能性が見えてきたので、将来的には光学設計と素材を用いた新たな作品にもトライしてみたいです」。

真鍋大度+坂本洋一+石井達哉「Light Field Theater」
(Photo:Hanayuki Higashi/鹿児島県霧島アートの森 2018)

BANDO CREATES「STRIPES」

9+1「CRAFTSCAPE」

「LEXUS DESIGN EVENT 2019-LEADING WITH LIGHT」で、このレンズを使って展開されたインスタレーション「optical walls」。
(Photo:Youichi Sakamoto Rhizomatics)

今回制作されたレンズ。

    今回使った素材・技術について

    三井化学は、メガネレンズ材料やスマートフォンカメラレンズ材料などの光学材料を保持しており、特に高屈折率メガネレンズのデファクトスタンダード材料MR™シリーズでは、さまざまなラインナップを保有しています。今回、三井化学グループの株式会社アーク(大阪市)の光学設計技術と組み合わせ、光の形状を変化させるレンズを設計・製作しました。拡散光のLEDの光がこのレンズを通過することで、直線光に変換され、何もない場所に光で区切られた空間を創り出します。

坂本洋一
アーティスト、ハードウェアエンジニア。建築事務所を経て、2010年からライゾマティクス所属。「Dimensions」「strips」など多数のインスタレーションの企画、製作に関わる。また、個人のアーティストとしては、2008年にICCにて「blank」を展示、近年、アートユニット"9+1"を主宰し、国内外にて作品を発表している。現在ICCで開催中の「オープン・スペース 2019」に参加している。

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