今年2月、小田急線登戸駅にドラえもんのまんがの世界観が表現された。すべての利用者に愛される駅にするための工夫とは?
駅ならではのデザインのバランス
小田急線登戸駅のドラえもんキャラクターによる装飾、ホームの駅名標に鈴、エレベーターに「どこでもドア」が描かれたのは、今年2月のこと。ドラえもんのまんがの世界に入り込んだような空間となった登戸駅では、2月26日にドラえもんを招いた完成記念式典が行われた。
小田急電鉄の駅構内がドラえもんデザインになったこの企画。そのきっかけは、登戸駅が「川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム」の最寄り駅のひとつであること、加えて、ドラえもんの青色が小田急電鉄のコーポレートカラーの青色と偶然、似ていたことだ。ドラえもんデザインにすることで、より多くの人にミュージアムと小田急線登戸駅を訪れてほしいという思いで実施された。
今回の装飾のコンセプトは、「ドラえもんたちのいる すこしふしぎな駅」。デザインを手がけた6D アートディレクター 木住野彰悟さんは、誰からも愛される駅となるように、『ドラえもん』『視認性』『日常』のバランスを試行錯誤したという。
「駅は機能の塊です。駅のサイン計画は計算されつくされたもので、それを変更することは基本的にできません。中でも、ホームは電車が停車するため、視認性が最も重視される場所です。また、駅には電車に乗るために、さまざまな人が訪れます。ミュージアムの道中に利用する人がいれば、通勤通学で毎日のように利用する人もいます。初めて利用する人にドラえもんのいるワクワク感を提供するだけではなく、日常にうまく溶けこませることで、普段から利用する人にも親しみを持ってもらえる駅にすることが大切だと考えました」 …