クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。今回は、帽子作家/イラストレーターのスソ アキコさんです。仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
『ヤン・ファーブル』
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(企画・監修)
(淡光社)
初めて見た作品は、「昇りゆく天使たちの壁」のポストカードだった。宙に浮いているようなドレス。宝石のような光沢は、よく見ると玉虫で、それと知った途端にぞっとしながらも見入ってしまった。その後、舞台「死の天使」、ルーブル美術館での「コントルポワン」展などでヤン・ファーブルの作品を観る機会を得た。
また、出身地であるベルギーのアントワープへ何度か行き、フランドル地方の歴史や美術、ボッシュやアンソールなどの作品にも出会った。当時のアントワープは、ファッションの機運が高まった時期でもあり、ドリス・ヴァン・ノッテンやアン・ドゥムルメステールの本店、モードミュージアムなどで、伝統的な手仕事があること、美意識の高さや前衛的な試みに対する寛容さを感じた …