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THE CREATOR あの人の頭の中

最後の最後まで「もっと面白くするには?」と考え続ける

権八成裕(シンガタ)

いま世の中で話題になっているCMを作っている人たちは、どのように企画を考え、映像を作り上げているのだろうか。今回は、earth music&ecologyをはじめ話題のCMを手がけているシンガタ 権八成裕さんです。

(左)ゲスト・権八成裕(右)聞き手・足立茂樹

人を楽しませたくて、広告業界へ

足立:権八さんがCMプランナーになろうと思ったきっかけは何だったんですか?

権八:大学2年生の時、友だちから電通クリエーティブ塾に誘われて、入塾試験を受けまして。当時、僕は電通も知らなければ広告について何もわかってなくて、ポスターに「映像クリエイター募集」と書いてあったので、漠然と面白そうと思ったんですね。それで試験を受けてみたら、感じ悪いことに僕だけ受かってみんなから恨まれて(笑)。

電通クリエーティブ塾は日本中から集まった学生が半年間、週に一度のペースで講義を受けたり、クリエイティブの課題に取り組むのですが、うっかりそこを首席で終了して。感じ悪く(笑)。僕は子どもの頃から人を喜ばせることが好きだったので、就職活動でも漫然とマスコミを受けて、電通、フジテレビ、TBSから内定をいただき、迷った挙句、電通に決めました。

足立:電通を選んだ理由は?

権八:最後は"人"で決めたのかなあ。テレビ局からも「絶対にうちに来てほしい」と言っていただいて光栄でしたが、当時のクリエーティブ塾長の小田桐昭さんの紹介で電通でスーパーエースだった岡康道さんを紹介されて。そうしたら「官僚と電通なら俺は悩むけど、テレビ局と電通で悩むのはナンセンスだ。一緒にやろう」と言われて、何だかわからないけど超かっこよくて、もう抱かれてもいいみたいな(笑)。他にもいろんな口説き文句をいただいてそのプレゼン力がすごくて騙されて(笑)。その気にさせられて電通に決めました。

足立:電通に入社後すぐに朝日広告賞最高賞を獲られましたね。

権八:表現の宿命だと思いますが、これまでよしとされてきたものが未来永劫そうとは限らないですよね。賞をいただいたのは、水道の蛇口を男性器に見立てて「別冊宝島」を表現したやつ。これは朝日広告賞の過去の受賞作を見て、正直どれもピンとこなくて、過去にお手本はないぞと。とにかく自分たちが面白いと思うものを追求しようという気分でした。当時、そういう生意気なところがあって、他の誰より自分の企画が面白いと思ってたし、新しいものを作るんだと自由にやらせてもらってましたね。そして入社5年目に、佐々木宏さんに誘われてシンガタを作ってからは一転しました。

足立:電通で自由にやっていた権八さんがシンガタに移ってどうでしたか? …

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