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デザインの見方

時代を超えて古びないデザイン

原野賢太郎

明治「明治おいしい牛乳」(写真は最初に発売された時のものです)

  • AD+D/佐藤卓
  • D/鳥居紫乃、曽根友星、田久保彬
  • 撮影/大久保歩

大学時代、僕にとってデザインとは何か特別な、高貴なもののように感じていました。いつか自分もそこに関わる仕事がしたいと思って、博報堂を受けました。ちょうどその頃、発売されたのが明治の「おいしい牛乳」です。

それまでの牛乳のパッケージは、牛や牧場のビジュアルの前に「牛乳」の文字がタイプされたものが多かったのですが、「おいしい牛乳」はグラスに牛乳を注ぐというビジュアル。きちんとデザインされているけれど、"デザインされているように見えないデザイン"に衝撃を受けました。

このパッケージをデザインした佐藤卓さんは「デザインを消す」ということをよくお話しされています。パッケージデザインの場合、その目的は人と中身をつなぐこと。だから、そこに必要以上のデザインはいらない、と。「おいしい牛乳」は、搾りたての牛乳の味にできるだけ近づけることを念頭に生まれた商品。それゆえに、できるだけ人工的ではない「そのまま」の印象、つまりできるだけデザインをしない方向でデザインをしたと後日、そのデザインの経緯を読みました …

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