ビルの壁面や水たまりをさまざまな魚が泳ぐこの動画。何気ない日常の中で見落としてしまいがちな"可能性"が投影されている。
感覚を研ぎ澄ますと見える「気配」を描く
ビル街にたたずむ1人の女性が、何かに意識を集中するように目を閉じる。再び目を開けた時に感じたのは、見えるはずのない魚の気配だった―。信号機やカフェに置かれたコーヒー、ビルの間から見える空まで、見慣れた街の日常風景に次々と魚影が姿を現していく。
ビル街を魚が泳ぎ回る不思議な世界観の動画を制作したのは、プロデューサーとディレクターで構成されるクリエイティブ集団 HOTZIPANGだ。企画演出を手がけた同社のディレクターは、「グローブライドさんは『地球を五感で楽しもう。』というスローガンで、フィッシングをはじめ、ゴルフ、テニス、サイクルと事業を展開しています。その中でも代表的な『釣り』をテーマにしつつ、釣りのシーンを入れずに誰もが楽しめる映像にしようと企画を考えていきました」と話す。
そこで、釣りに熱中する主人公の女性が、釣り場を探す時のように五感を研ぎ澄ますと、街中でも魚の気配を感じ取ることができ、その気配を一心不乱に追っていく物語に決まったという。
なかでも特に意識したのは、魚影が現れる「場所」だ。「誰もが既視感を感じるような日常の風景でありつつ、ビジュアルとしてきれいな撮影ポイントを、僕らも主人公の女性のように探し回りました。動画を見た人がそうした風景を目にした時に、自然と魚の姿を思い浮かべてくれればと考えました」。この企画の背景には、地球を舞台に未知を探求するワクワク感を表現する狙いがあり、魚影は「身近にあふれている可能性」を暗示しているという。
今回の取り組みについては、「映画のような壮大な雰囲気を演出できればと思い、文字情報はDAIWAブランドの掲げる『Feel Alive.』を最後に入れるに留めています。釣り好きの人にも、これまで関心がなかった人にもワクワクしてもらえるようCGの入れ込み方など注力したので、多くの人に楽しんでもらえればと思います」と語った。
HOTZIPANGの制作事例
- 企画制作+撮影+編集/HOTZIPANG