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マキシマム ザ ホルモンは、なぜ新作CDを書店で販売したのか?

ロックバンド「マキシマム ザ ホルモン」の新作『これからの麺カタコッテリの話をしよう』が、11月にリリースされた。本作はCDに加え、メンバーのマキシマムザ亮君が『コロコロアニキ』で監修・脚本を担当する連載漫画『マキシマムザ亮君の必殺!!アウトサイダー広告代理人』がセットになっている。そしてこれは「書籍」として、CDショップのみならず、"書店"を中心に販売されているのだ。

左から、AOI Pro. アートディレクター 伊藤岳さん、同プロデューサー 芝村至さん、博報堂 アクティベーションプラナー 外川敬太さん、マキシマムザ亮君、博報堂 デザイナー 谷川瑛一さん。

5年半ぶりの新曲は「CD+漫画」のセット

マキシマム ザ ホルモンは、5年ぶりとなる新作を、なぜ書店で販売しようと思ったのか?企画からデザインまで、すべてのディレクションを担当したマキシマムザ亮君(以下 亮君)は、その理由について次のように話す。

「僕はCDをジャケ買いするのが大好きなんです。でもYouTubeで曲が聴けるようになり、CDショップに足を運ぶ人が少なくなったいま、店頭でジャケ買いする人は確実に減り、アーティスト側もそこでシングルを販売する意味を見出しにくくなってきている。そんな中、まだジャケ買いの文化が残っていると、僕が感じたのが書店でした」。そこで『コロコロアニキ』の連載に先行して、未発表の最終話も含めた1冊にまとめ、CDとセットで販売することに決めた。

亮君が目指したのは、書店に並べられたときにジャケ買いの対象になるように"本屋に馴染まず、どのコーナーに置かれても違和感があるジャケット"だ。本作のパッケージは、クラフト紙に文字をスミで箔押し。これは、亮君が自腹で購入したお気に入りのパッケージなどを紹介する連載コラムで取り上げた、お菓子『バターのいとこ』と本『GET BACK...NAKED1969年、ビートルズが揺れた21日』にヒントを得て、それらのオマージュとして制作されている。

またCDであることを強調すべく、表面に穴を開けて光る盤面を見せている。さらには店頭でどの面で積まれてもいいように、縦横どちらでも置けるデザインにする、型抜きシールの裏側を加工するなど、細かい部分へのこだわりが満載のジャケットだ。

前代未聞の形態でリリースされた『これからの麺カタコッテリの話をしよう』パッケージ。
撮影:齋藤タカヒロ

ファンを巻き込む企画を満載

「売る前に買え!そうだ、もっとだ!」という帯のコピーを書いたのは、糸井重里さんだ。亮君の知人の田中泰延さんを通じて実現したという。「引き受けてもらえるかわからない段階から、糸井さんの他のコピーをカンプの帯に勝手に付けていたほど熱望していました」。

CDケースのカバーイラストはカネコアツシさん、盤面のイラストは漫☆画太郎さんと、別々の漫画家が書き下ろしている。新作に収められた漫画作画の藤異秀明さんと合わせて3人の漫画家が関わっている。さらに、亮君は収録されたタイトル曲「maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」含む4曲の解説ブックレットのデザインもあえて統一感を出さず、曲ごとに変えている。

こうしたこだわりがあるにも関わらず、本体価格は2,292円(痛風苦痛の語呂合わせ)。この価格に抑え、さらに購買意欲を高めるために、亮君はいくつかの施策を試みている。その一つが、「腹ペコえこひいきグルメクーポン」という割引券だ。「これは僕らのファンが経営している飲食店に有志で参加してもらう企画。同封されたステッカーを貼ったお店に、このクーポンを持っていくと特典を受けられるというものです。お店に行った人が"ここで使えた"とツイートすれば、そのお店の宣伝にもなるので、ウィンウィンの仕組みになると思いました」。

発売直後から、この企画には飲食店の枠を超えて300店舗以上が参加。クーポンを回収したお店への特典も用意している。他にも、ライブチケットの購入権利を抽選で得ることができる「先行リザーブチケット抽選券」、野外フェスでは数時間待ちは当たり前、オンラインショップも入荷とともにすぐ売り切れることでも知られているホルモンのグッズを確実に購入できる「プラチナVIPラウンジ入場チケット」、「腹ペコ宣言ステッカー」と、CD、本以外に合計4つの特典が収められている。

漫画の結末についての意見をSNSでアップしてもらう仕掛けを始め、雑誌広告、店頭プロモーションも、すべて亮君が出したアイデアを実現している。例えばHMVとタワーレコードの店頭に掲出した広告。それぞれにお互いのブランドイメージを模したデザインが使われている。

「これはうっかりミスをしたわけではなく、あくまでCDショップを盛り上げるための施策。こんなふざけたネタを承諾してくれた両店がまずかっこいいし、この広告を見にタワレコ、HMVどちらも見に行ってほしくて。愛ある悪意です(笑)」。1人でも多くの人にCDを売っている現場へと足を運んでほしいという、亮君の願いを企画にしたものだ。

制作期間中、亮君とスタッフは常に膝を突き合わせながら、企画、デザインを詰めてきた。これまでに挙げたことのみならず、実現できなかったアイデアはたくさんある。

「ミュージシャンは宣伝のことなんか普通考えない。売ることを考え過ぎるのはロックじゃないと思う。でも僕がやりたいのは、アングラの姿勢のまま一般層をこちら側に呼び込みたいんです。そのためには情熱を爆発させて、大人が絶対思いつかない宣伝会議をすることも必要。ブレーンを読んでいる意識高い系のクリエイターのみなさん、ラウドロックに興味がなくとも、ホルモンの新作は絶対チェックした方がいいです(笑)」。

そんな新作は、発売直後の週間売上で8.1万部を記録し、オリコン週間BOOKランキング2位にランクイン。「コミックエッセイ」ジャンルでは2週連続1位を獲得し、すでに17万枚超えの重版が決まるなど、好調なスタートを切っている。

亮君の作品・宣伝に対する漫画内の台詞がそのまま引用された漫画帯。

自身のパブリックイメージを逆手に取った自虐的広告デザイン。

CDショップ他、書店の漫画コーナーで異例の大展開された新作。タワーレコードとHMVそれぞれのブランドカラーを入れ替えるという業界のタブーに踏み込んだ広告をお互いの店頭で掲出。

※「これからの麺カタコッテリの話をしよう」特設サイト
https://www.55mth.com/2018/korekaranomkctl/

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