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デザインの見方

自分を研ぎ澄ましていくことで生まれる表現

矢後直規

矢後さんが所有する作品集『yukio nakagawa』より「花坊主」。

華道家であり、芸術家である中川幸夫さんのことを知ったのは、メンズファッション誌『HUGE』の花特集を読んだとき。そこに載っていた作品に衝撃を受けて、そこから作品集を集めました。最初に中川さんの作品を見たとき、正直なところ、そこに写っているのが本当に花なのか理解できませんでした。白菜を丸ごと生けた「ブルース」や、4500本のチューリップを腐らせた「闡(ひらく)」など、その形や生け方など発想が衝撃的でした。

後に調べて、中川さんの波乱に満ちた人生を知りました。華道の流派に属するものの、いけばなの決まりごとに疑問を抱いて衝突。流派を出て独自の道を進みました。当時は流派に属さずに花の道で生きていくことは難しい時代。そんなときに、自分のやりたいことを全うしたのが中川さんです。さらに調べてみると、生ける花にもこだわりがあることを知りました。

カーネーションをガラス器に詰め込んで、そこから滲み出た花液をも作品にした「花坊主」という作品では、新しいものではなく、商品にならない傷んだ花を使っています。花を扱うアートは美しさを世の中に提示する一方で、見方を変えれば花を大量に消費している …

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