編集部が街で気になった様々なデザイン
CD
森山直太朗『822』
(ユニバーサルミュージック)
- AD/宮下良介
- 撮影/佐藤麻優子
- 美術/SUI
森山直太朗さんの新作「822(パニーニ)」は、タイトル通り8月22日に発売。そのジャケットやブックレットには、さまざまな素材でできた「822」のオブジェが映し出されている。一見、何の素材なのかわからない数々の「822」。よく見ると、つけまつげだったり、バランだったり、絆創膏だったり、海苔だったり…する。「今回のアルバムはあえて意味性を排除したタイトルにしたと聞き、いっそのことジャケットも無意味なものにしてしまおうと思いました」と、デザインを手がけた宮下良介さん。822という数字を立体化したオブジェを使うことは、提案日の朝に思いついたという。
バラエティに富んだアルバムを象徴すべく、822にはさまざまな素材を貼り付けた。宮下さんはそれを街中のなんでもない場所で撮ることにした。「理想はきれいすぎず、スナップ写真のようにつくりこまず、なおかつただならぬ感じで撮りたい」と考え、お願いしたのが人物撮影時のライティングが独特な佐藤麻優子さん。その狙い通り、多様な822の世界が展開された。そして、宮下さんはこれらの822に名前をつけて、ブックレットに記した。「最初は馴染めなかったけれど、名前を見て愛着が沸いた」など、ファンからオブジェに対するさまざま声があがっている。
BOOK
円城塔『文字渦』
(新潮社)
- 装丁/田中愛子
- 書/華雪
『文字渦』は表題作をはじめ、収録作すべてが文字について書かれた作品。カバーには、書家 華雪さんによる文字の変遷が書かれている。装丁を手がけた田中愛子さんは華雪さんに「篆書の「阿」から始まり、隷書、草書、行書、楷書、そして"もじか"に至るまでの文字の変遷を書いて下さい」とお願いしたという。これこそが作者からのリクエストであるが、その文字の変遷は「偽史」。華雪さんはその文字をあたかも存在したかのように書いたのである。
「文字の起源から未来までを見通す、虚実ないまぜになった短編12話。"これが文字の正史です"というような堂々とした佇まいを装いつつ、実は真顔でホラを吹いている、といった風の少し可笑しみのある装幀にしようと考えました。また文字のムービングも表現できればと思いました」と、田中さん …