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デザインの見方

デザインという仕事の面白さを教えてくれた展覧会

久能真理

人・人・人(サンオイル/ビューティケイク)資生堂サマーキャンペーンポスター 松永真/1971年

美大に進もうと思って予備校に通い始めたのは、高校3年生のとき。美大に行くならデザイン科にと漠然と思いながらも、グラフィックデザイナーがどんな仕事をするのか、まだ理解していませんでした。そんなとき、テレビで偶然松永真さんの特集を見て、セゾン美術館で開催されていた「松永真のデザイン展―日常性の美学」を見に行ったんです。

当時の私は松永さんに関する知識は全くなく、いま活躍しているデザイナーの展覧会だから行ってみよう、くらいの気持ちでした。ところが会場に入ったら、スコッティやブレンディ、ベネッセや西友など、毎日の生活の中でよく見る商品や企業のロゴマークがいっぱい並んでいる。さらにパッケージやプロダクト、自由に描かれたドローイングや立体の作品も。自分の中にあったデザイナー像と違い、こんなに幅広い仕事ができるんだと驚きました。会場に並んだ松永さんのデザインにはのびのびとした自由な線と色があふれ、どの作品からも表現することの楽しさが自然と伝わってきました。

私が特に目を惹かれたのが、資生堂のサンオイルとビューティケイクのポスターです。最初に見たとき、イラストなのかと思ったら写真だった。こんな風に写真を使うこと自体が新鮮だったし、何よりも表現にユーモアがある。商品の機能を説明しているわけではないけれど、見るだけで夏のサンケア商品であることが伝わります …

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