赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
10代の頃から、僕は大のMr.Children(以下ミスチル)ファン。ボーカル 桜井和寿さんの声帯・形態模写をずっと続けていて、2年前の東京デザイナーズウィークで開催された「デザイナーズカラオケのど自慢大会」で優勝したこともあるほどです。音楽としてずっと好きだったミスチルのジャケットや広告のデザインを初めて意識したのは、大学生の時。博報堂が大学で就職説明会を開催し、卒業生としてやってきたのが森本千絵さんでした。
その頃、森本さんはミスチルのベストアルバムやシングルの広告を手がけており、水が染みたような新聞広告、沖縄の岸壁に歌詞を書いたポスターなどが話題を集めていました。長年のファンである僕からすると、森本さんの手がけたミスチルの世界はこれまでとは全く違いました。とても柔らかくて、ミスチルでもこういう表現ありなんだ!という驚きと共に、自分の大学の先輩がミスチルのアートワークを手がけていることに、勝手に親近感を持っていました。
卒業後、日髙英輝さん率いるグリッツデザインにようやく入社し、広告ならではのスピード感のある表現やコミュニケーションにどっぷりと浸かる日々を送っていました。そんな頃に発売されたのが、ミスチルの『HOME』です。渋谷で広告を見て衝撃を受けました。これまでのジャケットと違う優しいテイストで、写真を見ているだけで、そこはかとなくストーリーが感じられる …