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REPORT

「白い恋人」から生まれた新たなチョコレート

ISHIYA「恋するチョコレート」

北海道の定番のお土産菓子「白い恋人」で知られる石屋製菓から、「白い恋人」のチョコレートをベースにした、「恋するチョコレート」が今年1月に発売された。創業71年目に生まれた新商品の開発には、どんな背景があったのか。

「恋するチョコレート」。

石屋製菓のチョコレートへのこだわりを体現した新商品

「恋するチョコレート」は、石屋製菓の「白い恋人」のチョコレートをベースに生まれた板チョコの新商品。「北海道贅沢ミルクチョコレートと塩」「ホワイトチョコレートと塩」「とうきび」「小豆と碾茶(てんちゃ)」「さくら」の5つのフレーバーがあり、札幌および東京の直営3店舗とオンラインストアのみで現在扱っている。

開発を先導したのは、2013年に社長に就任した石屋製菓 第4代社長の石水創さんだ。31歳で社長に就任し、北海道以外では初となる直営店「ISHIYA GINZA」のオープンや、新工場を開設するなど、同社の新たな基盤づくりを精力的に推し進めている。石屋製菓の商品開発室 シェフパティシエの鴨川靖司さんは、「恋するチョコレート」の開発キーワードを「原点回帰」だと話す。

「北海道に初めてチョコレートショップを作ったのは石屋製菓です。工場には『チョコレートファクトリー』の看板を掲げるほど、チョコレートを大事にしてきました。70年を越えるの会社の歴史の中で生まれた『白い恋人』や『美冬(みふゆ)』などヒット商品の核となるのもチョコレートです。だからこそ、石屋製菓のチョコレート自体の価値をもっと上げたい、それによって既存商品にもいい影響を与えたいというのが、社長の長年の思いでした」と背景を話す。

その第一歩となったのが、ICA(インターナショナルチョコレートアワード)2017への出品だ。「まずは新ブランドのベースとなるチョコレートを作り上げるために、国際的なチョコレートの品評会であるICAに出品しようと決めました。そこで世界に認められるチョコレートを作り、それをベースに商品開発をしていこうと考えていました」(鴨川さん)。

当初はあくまで"チャレンジ"のつもりで、現在の「恋するチョコレート」のラインナップの元になるチョコレートを出品したところ、アメリカ&アジア太平洋大会で金賞1品、銀賞4品、その後の世界大会では銀賞を獲得できた。

「お土産菓子」と競合しない「ギフト菓子」として開発する

この受賞を機に商品化がスタートし、ここから電通北海道のチームがブランド開発のパートナーとして参画した。商品化に当たっての戦略上のチャレンジは、このチョコレートを「ギフト菓子」として開発することだったという。

たとえ「白い恋人」を超える商品ができても、それが同じジャンルの"お土産菓子"では、身内で競争することになってしまう。そこで新商品は"ギフト菓子"のブランドにすることになった。「白い恋人」など既存商品の売上げは伸ばしつつも、新規のチョコレート商品の投入によって、全体の売り上げをさらに拡大していくという構想だった。

電通北海道のチームでは、ネーミング、ロゴマーク、パッケージ、ショッパー、店頭什器、広告宣伝のプラン、リリース、戦略PRまでを一貫して担当した …

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