名古屋市栄区にある「名古屋テレビ塔」は地元で愛される栄区のシンボルだ。2012年からテレビ塔を含む公園エリアでは、マーケット型イベントが開催されている。その名は「SOCIAL TOWER MARKET」。電波塔としての役目を終えた名古屋テレビ塔が、地域を活気づける新たな役割を担っている。
NPO、行政、地域団体、大学 四者連携による地域活性プロジェクト
名古屋市栄区のシンボルである「名古屋テレビ塔」のある久屋大通公園一帯で、2012年以降、毎年10月にマーケット型のイベント「SOCIAL TOWER MARKET」が開催されている。昨年は2日間で述べ約3万人を動員したことからも、名古屋市民にとって"秋の恒例イベント"として定着していると言っていいだろう。
このイベントは、NPO法人大ナゴヤ大学(まちづくりNPO)、久屋大通発展会(地域団体)、名古屋市(行政)、名古屋工業大学 伊藤孝紀研究室(大学)によって発足した「SOCIAL TOWER PROJECT」の活動の一環としてスタートしたものだ。
プロジェクトリーダーを務める、名古屋のデザイン事務所クーグートのデザイナー 青木奈美さんはプロジェクト発足の経緯について次のように話す。「2011年7月にテレビ塔がアナログ放送の電波塔としての役目を終え、市民の間で塔自体をどうするかという議論が起こりました。大ナゴヤ大学は登記住所がテレビ塔だったり、テレビ塔と公園活用について考えるワークショップをした実績もあったので、私たちなら上手な活用を提案できるのではないかと考えました」。
そこでまず青木さんは名古屋市民に対するアンケート調査から始めた。「その結果、テレビ塔に向けた愛情の声と、同時に周辺の久屋大通公園が活用しきれていないという指摘が多く集まりました。ということは、テレビ塔に新たな役割を持たせ、公園をもっと人が集まりやすい場所にできれば、街自体も元気になる可能性があるはずです。それを実現するために、地元のまちづくりNPOの久屋大通発展会と大ナゴヤ大学の創設時から関わりのある伊藤研究室に声をかけ、プロジェクトを立ち上げました」 …