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海外でも注目、大学発「気づきに気づく」デザインの発想法

りんごデザイン研究所

5年前、大阪芸術大学デザイン学科の基礎実習として三木健教授が考案した教育メソッド「APPLE」。現在、国内外で注目を集める「APPLE」の一連のプログラムを体験できる空間「りんごデザイン研究所」が、同大学の図書館内にオープンした。

大阪芸術大学図書館内に開設されたりんごデザイン研究所。各授業のコンテンツが並び、APPLEの一連のプログラムを見ることができる。

世界に広がる「APPLE」のプログラム

「APPLE」は、古代ギリシャの哲学者 ソクラテスが語った「無知の知(私は知らないことを知っている)」という言葉を背景に組み立てられた全15回のプログラムだ。「知っているようで、実は知らない」りんごを観察することで、デザインの考え方、作り方、伝え方、学び方を体験できる。特徴的なのは、毎回の授業内容を記録し、個人とクラス全員の作品をファイリングすること。それによって、学生それぞれの体験が付加された新しいスタイルの教科書(ドキュメントファイル)が完成する。一連のプログラムを体験することで、学生たちは「気づきに気づく」デザインの発想法を学ぶ。

そんな「APPLE」の全体像を展示する空間が今年4月、大阪芸大図書館内に「りんごデザイン研究所」として開設された。展示空間には、各授業のコンテンツや作品など「APPLE」にまつわるさまざまなコンテンツが並ぶ他、研究室も併設。今後、大阪芸大の学生だけではなく、高校生や教員、企業など、一般にも公開していく。「その昔、デザインを“図案”と呼んだ時代がありました。昨今では、デザイン・シンキングという概念が生まれ、暮らしや仕事のさまざまなシチュエーションでデザインをベースとした発想に注目が集まっています。

図を案じる“図案”と、案を図る“図案”の両方を併せ持つ。考え方をわかりやすく設計し、その思想を、語れるモノづくりやコトづくりとしていかに可視化していくかということに興味を持つ方が増えてきました」と三木教授は話す。一方、「デザイン・シンキング」という言葉をどのように実践していけばよいかと戸惑う人も少なくない。

「APPLE」のプログラムでは、りんごを自分たちの商品や企業に置き換えて考えることで、ものの見方が変わり、デザインの本質を理解することができる。つまり学生だけではなく、さまざまな人たちに応用できるプログラムであることが、これまでの活動で見えてきた。こうした経緯から、大学の新しい研究機関として、また学内外の人たちとのオープン・エデュケーションを実践する場として、「りんごデザイン研究所」が開設された。

「APPLE」はこの3年の間に国内外で注目が高まり、大学という枠を超えてユニークな活動を続けている。2013年に日本に先駆けて、スイスのラースミューラー出版から書籍『APPLE』が上梓されている。「APPLE」の展覧会ポスターが第18回亀倉雄策賞を受賞し、受賞記念展「りんごデザイン研究所」が開催された。そして中国語版、日本語版の書籍出版に続き、2017年10月には、中国・上海の美術館「上海当代艺术馆」全館で「APPLE」の展覧会を開催。

今年は韓国語版の出版、中国国内での巡回展ほか、夏には上海にある向明中学・高校に「APPLE」の常設展示空間が開設される。「デザインを専門としない中学・高校がAPPLEを常設することに驚きましたが、多様な人たちに受けいれてもらえるプログラムであることが見えてきました。将来的にはAPPLEという実学を通して、りんごデザイン研究所が大学と企業、ひいては社会とつながる場にしていけたらと思います」。

編集協力/大阪芸術大学

大阪芸術大学 デザイン学科
教授
三木健さん

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