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あれから10年

設立時に掲げたのは、「純度の高い仕事」を続けること

mount inc. イム・ジョンホ

10年前に独立した人はどんな背景から、どんなことを考えて、自分の場所を築いたのか。そして、この10年の間にどんな変化があったのか。今回は、フリーランスを経てmount inc.を設立したイム・ジョンホさんです。

mount inc.
代表取締役 アートディレクター/クリエイティブディレクター
イム・ジョンホ

1977年韓国 釡山生まれ。2000年にビジネス・アーキテクツ入社。2004年独立、フリーランスを経て、2008年に梅津岳城と共にmount inc.設立。
Photo:parade/amanagroup for BRAIN

設立当時のイムさん

「ものづくり」と「経営」という両軸でバランスよく考えてきた10年

──イムさんはフリーランスを経た後にmountを立ち上げています。フリーから会社をつくろうと思った理由は?

今から17、18年ほど前ですが、フリーになる前に福井信蔵さんや中村勇吾さんなど、Webの世界の最先端にいるスーパースターの先輩が多数在籍していたビジネス・アーキテクツで3年半ほど働いていました。僕自身はデザインを専門的に学んだことがなく、すべて独学だったので、もっと勉強をして成長したいと思い、フリーランスになりました。幸いなことに、フリーになってからは星野リゾートの白銀屋やauなど、さまざまな仕事をいただきました。でも仕事をするうちに、いくつか課題が見えてきました。

一つは、Webをつくる際は絶対にプログラマが必要で毎回違うスタッフをアサインするとクオリティにバラつきが生まれること。それから僕はインタラクティブ面の発想が足りなかった。30歳を超えた頃に、1人でやり続けることに限界を感じ、これまでの仕事を一緒にやっていたフリーのデザイナー/プログラマの梅津岳城と2人で会社をつくることにしました。

──設立当初は梅津さんと「どんな会社にしていこう」と話していましたか?

まず、僕と梅津の2人で一緒にできない仕事は受けないと決めました。デザインだけ、プログラミングだけをお願いされるケースがありましたが、すべて断ることにしたんです。なぜそうしたかと言えば、「純度の高い仕事をしていく」、つまり「mountの純度を高める」ためです。企画が完全に決められていて、あとはつくるだけという仕事ではなく、自分たちが企画から考える、または企画から入る余地のある仕事をして、「これはmountがつくったものです」と堂々と言える仕事をしようと決めました。

一つの仕事に対して、きちんとコミットしていく。ただ、そうすると仕事にフィルタリングをかけることになるので、仕事が来ない期間が生まれることを覚悟しなければなりません。その期間を乗り切り、ランニングコストを抑えるために「ぎりぎりまでスタッフ増やさない」とも決めました …

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