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SXSWに見るコミュニケーションのキーワード

1987年に音楽の祭典としてスタートし、今では音楽・映画・インタラクティブの3つのカテゴリで開催されるSXSW。世界中から先端技術が集まるインタラクティブフェスティバルに今年出展した、電通の阿部光史さんによる現地レポートをお届けする。

SXSW2018のロゴ。矢印が示すのは南南西。

今年もテキサス州オースティンにてSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)が開催されました。SXSWは「インタラクティブ」「フィルム」「音楽」という3つのカテゴリのもと、1000を越えるカンファレンス、トレードショー、市内の広範囲にわたって行われる多くの関連イベントなどによって構成されています。僕は昨年に続き2回目の参加です。全体を見る中で出てきたキーワード、今後押さえておくべきポイントなどお伝えしたいと思います。

なお、今年は単なる参加者ではなく、トレードショーにおける電通ブースのクリエイティブプロデューサーという役割も持っていました。これについても発見などがあり、後半で触れていきたいと思います。

空港の中にもオフィシャルショップが!

映画のプロモーションもいっぱい。話題の映画「レディ・プレイヤー1」は劇中のVR体験を提供。

デロリアンがあったら乗るでしょ!

音楽部門も盛況です。写真はmachÌna。

メルセデスの不思議なセンサー車を体験!

ソーシャルVRが来る

今年のSXSWは「コンバージェンス(領域を越えてつながる)」「ブロックチェーン」「健康」「AI」など12個のトレンドを掲げていましたが、まずは「VR MARKET MATURES(VRコンテンツの成熟)」からお話します。2017年よりフィルムカテゴリーの中に「ヴァーチャルシネマ部門」が新設され、ホテルの一室に設けられた特別なスペース内で、多くのVR作品が鑑賞できるようになりました。

ここで僕が注目しているのは、WITHINという会社が制作するコンテンツです。昨年彼らが公開した作品『Life of Us』は、会場の中でも異彩を放っていました。ヘッドセットの中で繰り広げられたのは、さまざまな生き物の10億年の進化の歴史を体験する、というアドベンチャーコンテンツでしたが、参加者は単独ではなく2名が1チームとなり、同じバーチャル空間の中で、お互いを感じ、繋がりながら、同じストーリーを体験していたのです。

さてこれがどう進化していたか。今年彼らが出してきたのは『CHORUS(コーラス)』という名のコンテンツ。昨年の2名よりもパワーアップし、同時に6人が体験できる構成となっていました。参加者はVRヘッドセットと、両手にコントローラーを持ち、各々がコンテンツの中で幻想的な女性戦士に生まれ変わります。そして昨年同様、バーチャル世界の中で全員がインタラクティブに接続されます。

あるキャラクターを見つめれば、向こうはその気配を感じてこちらを見つめ返します。仕草も音声も皆に伝わるようになっており、全員が繋がりながら同じバーチャル空間を移動して行く作りになっていました。

面白かったのは、後半のストーリーテリング。あるとき自分以外のキャラがすべて倒れ、自分のキャラだけが生き残ります。そして倒れた5人の力を受け取り、自分は強大なボスキャラと戦うことになります。もうおわかりだと思いますが、このとき6人全員が『自分だけが生き残った』という状況を体験し、最後の敵と戦っていたのです。勝利の後は全員が復活し、女神から祝福を受け、大団円を迎えます。

さて、VRヘッドセットを外した後はどうなったでしょう。同じ空間を旅し、同じ敵と戦ったという濃厚な共有体験が参加者を包み込んでいたのです!

FacebookがOculus社を買収して4年、ソーシャルVRの時代は近いと言われていますが、まだ実現していません。しかし、最近Oculus社はスタンドアロン型VRヘッドセット『Oculus Go』を今年の5月に発売すると発表しました。それは間違いなくソーシャル機能を持ち、世界中の人たちが同じ空間で同じ旅を体験することになるでしょう。僕はこの繋がるという感覚の拡張に、VRコンテンツの成熟を感じました。

また、これはVRでしか描けないストーリーテリングの未来のひとつであり、「同じブランドを同時に体験する」という形で、近未来のマーケティング活動にも降りてくるスタイルだと直感しています …

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