インターネットマーケティング事業を中心に手がけるセプテーニグループから新たに立ち上がった「SIGNCOSIGN」(サインコサイン)。CEOの加来幸樹さんがセプテーニに入社後、バナーやサイト制作からコンセプト開発まで幅広く手がけてきた経験から同社ではクライアントとの対話からアイデアを生み出し、クリエイターと共にアウトプットの制作も行う。
アイデアが生まれる秘訣は"場"にある
サインコサインは、セプテーニグループで年に1回実施される新規事業プランコンテストがきっかけとなり、設立された。発案者は、現在セプテーニホールディングス コーポレートデザイン室室長も務める加来幸樹さんで、アイデアを出すためのグループディスカッションやワークショップのファシリテーション事業をメインに提案したという。
「これまでWebサービスを通じた社外活動で300人以上の方からネーミングの相談を受けてきました。そのなかで、いいアイデアが生まれる時の共通点は、相談に来た人がただ相談して終わりではなく、きちんと一緒になって生み出そうと考え抜いていることだとわかりました。クライアントが主体的に考え、話せる環境でこそ有益なアイデアが出る。そのための環境・場づくりもクリエイターの仕事だという気づきが、事業案のもとになっています」と加来さんは言う。
そうした経験から、同社ではワークショップを活用し、クライアントとクリエイターが一体になって、よい答えを導くための"問いを見つける場"を提供している。まずコンセプトやアイデアを開発し、それを浸透させるためのコンテンツやツールなどをパートナー関係にあるクリエイターと制作したり、人材育成プログラムに落とし込むことが同社のソリューションになっている。
グループ内で活動をスタートし、新規事業やプロダクトの開発、リブランディング、インナーコミュニケーションの活性化などの相談が増えるなかで、このソリューションを広告に限らず生かせる機会があると考え、今年4月に同グループ内の新会社として独立。現在は、コンセプトやアイデアを必要とするさまざまな仕事に携わっている。
イベント運営のプラットフォームを提供するイベントレジスト社から社員の行動指針策定の依頼を受けたり、東京建物のイベント運営を中心としたコミュニティ創出に関する企画立案なども手がけている。
「ワークショップには経営層をはじめ、クライアント社内の若手を交えて話し合いをすることもありますし、ステークホルダーへのヒアリングなども行います。そこから目指すべきイメージを固め、その後は意思決定権を持つ少数メンバーからのフィードバックを繰り返し受けて、アイデアをまとめていきます。一見、時間のかかるアプローチに思えるかもしれませんが、案件によっては当初想定した3分の1の工程で納得のいくものができることもあります」(加来さん)。
結びつく形に捉われない制作のコミュニティ
ワークショップを活用したソリューションのほかに同社が持つ特徴として、雇用形態がある。働き方や所属を定めておらず、現在は副業や協業パートナーという形で参加するメンバーが多い。
「僕自身、社外の活動でキャリアをつくってきた部分があります。パートナークリエイターの方には、本業では挑戦できないことを試みる場として当社を使ってもらえればと考えています」と加来さん。
実制作においてはプロジェクト単位でチームを組んでおり、今はそのためのコミュニティを広げている。「これまで仕事などで出会った人の中で当社の姿勢に賛同してくれた人とパートナシップを組んでいます。『雇用』ではなく、『信用』でチームや組織が形成されていくことが理想です」(加来さん)。
副業として参加するクオーターバック コピーライターの福島恵子さんは、「加来さんはアイデアが生まれるプロセスを言語化・仕組み化しようとしていて、そこを自分も学びたいと考えて参加しています」と活動の魅力を話し、それぞれのメンバーがスキルアップや本業ではないからこそ追求できる働き方を実現している。
加来さんは「これからは、優秀な人ほど社外にも活動の場を広げていくケースが増える可能性もある時代です。そうした流れのなかで、サインコサインを新しい働き方の1つのモデルにいきたい」と語る。今後も同社ではパートナーとしての参加者を増やしつつ、アイデアが生まれる場や雰囲気づくりができるファシリテーターやコミュニティマネージャーを中心に、人員を拡大していく予定だ。
お問い合わせ先
サインコサインでは、一緒に働く仲間を募集しています。
詳しくは『ブレーン』2018年6月号のCAREER NAVI(P97)をご覧ください。
サインコサイン
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