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「食」の老舗企業の挑戦 ブランド開発とクリエイティブ

菓子問屋の老舗から生まれた異色のおやつブランド

京乃晴れ姿

90年以上続く菓子問屋「鈴木本店」が設立した菓子メーカー「京乃晴れ姿」から、異色のお菓子が次々と誕生している。菓子問屋とGRAPHの協業によってブランド開発がなされたという。

「つけてもおいしいポテトチップス オリーブオイル」。独自のノンフライ製法のポテトチップスにオリーブオイルをつけて食べる。

老舗問屋が菓子メーカーを立ち上げた理由

1926年(大正15年)に京都で創業し、92年の歴史を持つ菓子問屋の鈴木本店は、6年前に菓子メーカー「京乃晴れ姿」を立ち上げた。その背景について、京乃晴れ姿 献上品キュレーター(ブランドマネージャー)の森井孝明さんは「鈴木本店は元々問屋でありながらメーカーが作ったお菓子をリパックして販売する半メーカー的な機能を持っていました。ある時、人気の浮きあられ『御所千鳥』のメーカーを京都から他県に変えることになりました。パッケージには京都住所の社名を維持したかったため、販売用の表示会社として社長の岡林(孝廣)が立ち上げたのが、前身の『京乃晴れ姿本舗』です」と説明する。

京乃晴れ姿を設立以降、本腰を入れてオリジナル商品の開発にも着手した。が、「全く売れなかった」という。「私たち問屋は"売れる顔つき"の商品を見極めるプロですが、自分たちでそれを作ることはできないと失敗を通して気づきました。いい商品までは作れる、あとは出口であるパッケージやブランドコンセプトの構築の問題だと。それなら、その道のプロにお願いしようと考えたんです」。それから複数の会社に打診し、そのうちの1社がGRAPHだった。

「GRAPHに声をかけたのは、我々のブランディングにかける思いをわかってもらえると思ったからです。まもなく100年目を迎える我々がさらにあと100年続く企業になるには、問屋業だけでは難しい。ブランディングを行い、しっかりした菓子メーカーとしての立場を築く必要があります。ただ流行りのデザインでない、長く続くブランドを作りたい我々の思いを、GRAPHなら理解してもらえるのではと思いました」。

上質さを想像させるブランド名を提案

話を聞いた北川さんはそのコンセプトに共感、京乃晴れ姿とブランディング契約を結ぶことになった。それが約6年前で、具体的なブランディングの提案は約3年前からスタートしている。北川さんは岡林社長と付き合う中で、その感覚を信頼できるという思いを強めていったという。

「岡林さんに何度か京都のお店に連れていってもらったのですが、『京乃晴れ姿』のコンセプトと同様で、高級料亭ではないが大衆向けでもない、その間の本当においしいお店ばかり。一見普通でも実は9年連続ミシュランをとっているお店など、本当においしいものを知り尽くした人だと感じました。食べ物の仕事ですから、そういう部分でのセンスが合ったことも大きかったと思います」。

具体的な提案段階に入り、最初に提案したのは「御門献上品 京乃晴れ姿」というブランド名だった。「京都からの発信をイメージさせながら、上質さを連想させるネーミングです。京都には、御門(ミカド)にお菓子を献上する文化があり、それを通じて京菓子が発達した歴史があります。こうした献上品ぐらいおいしいお菓子である、という意味を込めています」(北川さん) …

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