赤瀬川原平のパロディーとユーモア
これまでデザインに関して、たくさんの人やものから影響を受けてきました。その中でもデザインに対する態度で最も影響を受け、今もたびたび思い出すものがあります。それは、前衛芸術家の赤瀬川原平が1970年代に週刊誌『朝日ジャーナル』(朝日新聞社)で連載していた『櫻画報』です。
デザインの見方
僕が影響を受けたのは、川添登さんと師匠の勝井三雄先生が監修した国内初のフルカラー百科事典『現代世界百科大事典』1~3巻(1971年、講談社)です。この事典にはダイアグラムやインフォグラフィックスなどに必要な手法がすべて詰まっているんです。
いまはWebで大抵のものは調べることができますが、当時は百科事典がその役割を果たしていました。しかし、百科事典は情報の集合体という性質ゆえに、どの出版社も本としての新しさを出すことに苦労していました。
本書の制作時に勝井先生が打ち出した方針は、すべてのデザイン要素を「規格化」することでした。百科事典の情報量は膨大で、勝井先生の事務所だけでデザインをするには当然無理がある。そのため、多くのデザイナーと協働作業をしていく必要がありました。協働者全てが手がけるデザインに統一性を持たせ、機能的で美しいデザインを実現するために、勝井先生が考えたのがデザインの規格化。つまりこの百科事典をデザインするためのガイドラインをつくることでした …