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CESで発信された未来のデジタル生活空間とは?

加藤 薫

毎年ラスベガスで開催され、最新のコンシューマーテクノロジーが集まる見本市「CES」。今年はここからどんなトレンドが発信されたのか。広告パーソンとして注目すべき情報は何か。CES参加4年目となる、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所の加藤薫さんに解説してもらう。

今年1月にラズベガスで開催されたCES。3900社を超える企業が最新テクノロジーを出展した。
画像提供:iStock/Getty Images Plus(Ethan Miller/903955148)

今年のCES、どう理解するべきか?

筆者の所属するメディア環境研究所では毎年、テクノロジーと新製品の世界最大級のコンベンションであるCESに研究員が赴き、現地取材を行っています。「今年のCESは、何が目玉だったんですか?」という質問を、帰国後あちこちでいただいたのですが、音声アシスタント端末が圧倒的な存在感を放っていた昨年と比べると、一言でスパッと「これ」と言い切るのはミスリードに繋がってしまいそうで、大変悩ましい年でした。

既に報道されている文脈も、「スマートシティ」「モビリティ」「5G」「音声アシスタント対決」「日本企業の存在感」など多岐にわたっており、「情報としてはわかるが自分の仕事とどう結びつくのだろうか」、と思案された方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。

わかりにくさの背景にあるのは、大きな産業全体の変化です。これまで、広告やコミュニケーションに携わる私たちが向き合ってきたのは「情報のデジタル化」でした。ここ20数年間で進展してきたメディア環境の変化とは、基本的には、PCやスマートフォン・タブレット、デジタルサイネージ、テレビなどの情報を映し出すスクリーンにおける変化です。スクリーンの大小の差はあれど、その中の情報がデジタル化されたことにより、私たちの仕事のあり方は大きく変容してきました。

一方で、今、はじまりつつあるのは「生活のデジタル化」です。自動車産業がデジタル化すれば自動運転によるモビリティサービスが生まれ、流通産業がデジタル化すれば無人店舗などの新しい売り場が生まれる。衣・食・住・遊・流通・教育・移動・金融・健康・福祉・レジャーに至るまで、幅広い産業領域に、テクノロジーによる同時多発的な変化の波が押し寄せています。

デジタルトランスフォーメーションの大きな潮流は、今後、産業の際をなくしていくと言われています。いま区分けされている産業領域で捉えると、実は変化の本質が見えにくくなります。そこで、人々が暮らす「個人」「家」「都市」「社会」という4つの生活空間のレイヤーで、今回のCESの情報をひも解いてみましょう。

「ナカ」と「ソト」 2つの流れに分化したCES

今年の状況は、CES自体が「家庭空間(ナカ)」と「都市空間(ソト)」という、2つの流れに分化したと捉えると、非常に理解しやすいように思います。これまでのCESは、家電などどちらかといえば「ナカ」に焦点が当たっていました。車メーカーも、車の「ナカ」で、ドライバーをサポートする新しい技術の提案をしていました。総じて、家や車の「ナカ」の空間がどうアップデートされていくかのストーリーが長らく語られてきたと言えます。

家や車の「ナカ」の空間において、昨年大きな注目を集めた音声アシスタントの存在ですが、今年のCESでは既に一般化し、多くの家電メーカーをはじめ、洗面所やシャワーなどの水周りのメーカー、ベッド、車載端末など幅広い企業が、自社製品に搭載していたのが印象的でした。

ちなみに、CES直前に米国のNational Public Mediaが発表した調査データによると、スマートスピーカーは、2017年12月末時点で米国国内において3900万人に普及、6人に1人が所有するデバイスになったとのこと。米国では発売3年で、音声アシスタントはキャズムを越え一般的な存在になりつつあると言えるでしょう。

「ナカ(家庭空間)」と「ソト(都市空間)」の2つの流れに分化

多くの家電メーカーが、音声アシスタントを搭載した製品を発表。画像提供:iStock/Getty Images Plus(David Becker/903445008)

Kohlerが発表したAlexa搭載の照明つき三面鏡。スピーカー内蔵で、メイクしながら声で操作できるスマート鏡。
撮影:筆者

Boschは、2018年春にすべてのスマートホームシステムをAmazon Echoと接続できるようにすると発表。撮影:筆者

モノとモノの通信が加速することが5G理解のポイント

今年、特に注目したいのは、都市の生活空間「ソト」の機能のアップデートです …

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