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ブランドの魅力を発信する空間・体験のデザイン

街のカルチャーから発想したシンボリックな店舗

ジンズ

ジンズは旗艦店となる「JINS渋谷店」を昨年5月にオープンした。同社は渋谷店に限らず、首都圏を中心にシンボリックな店舗を続けて開発している。そこには、店舗を"売り場"を超えたコミュニケーションの場にする狙いがあった。

JINS渋谷店。建築家の藤本壮介さんによるデザイン。木の什器が立体的に組み合わさり、見る人の視点や角度によって表情を変える。

JINSのブランドビジョンを表現した「渋谷店」

ジンズは昨年5月、アイウエアブランドJINSの旗艦店として「JINS渋谷店」をオープンした。メガネを掛けない人も楽しめる情報発信型店舗として作られた渋谷店は、高さの違う木の箱型の什器が立体的に組み合わさり、見る人の角度や視点によって表情が変わる店内デザイン、可動式イベントスペースを設置した2階スペースなど、他店舗にはない独自設計になっている。

ジンズ コミュニケーションユニット ユニット長の松浦亮介さんは「渋谷店の構想の元になったのは、2014年に新たに制定されたブランドビジョン『Magnify Life』(人々の人生を拡大し豊かにする)。このビジョンを表現した旗艦店を渋谷に作ろうという話になったのです」と振り返る。

店舗の場所に渋谷を選んだのは、渋谷のカルチャーとJINSの目指すビジョンが一致したからだ。「渋谷は音楽や演劇、ライブハウスなど、さまざまな文化が生まれミックスし発展してきた街です。そのカルチャーが新たな価値を取り入れ、イノベーティブに提供していくJINSのビジョンと通じると感じました。そこで、渋谷に出店する店舗をJINSの旗艦店に位置づけたいと候補地を探し、今の物件を見つけました」。

場所だけでなく、店内デザインもビジョンを体現することにこだわっている。「従来の店舗デザインから発想の飛躍を求め、これまでにない建築を生み出している建築家の藤本壮介さんに依頼しました。藤本さんからは『寿司屋のカウンターのようなシンプルで潔い什器』とご提案をいただき、見る角度によって新しい発見ができる構造という形で、具現化していただきました」。

また、通常今回のような2階層の店舗では1、2階ともに商品を並べるか、または2階をオペレーションスペースとするが、渋谷店は既存のやり方にとらわれずに考え、2階をイベントスペースにしている。2階でのイベント第1弾は、アーティスト鈴木康広さんによる作品展だ。「Blinking Spectacles世界の見方が変わる瞬間」というテーマのもと、映像とインスタレーションの展示を行った。普段とは世界が違って見えるきっかけを、アートを通じて見る人に提案するものだ。

「アートを見に来て、後からJINSのお店だったの?と気づくお客さまもいらっしゃいます。これまでとは違うブランドとの出会い方が生まれています」。

JINS渋谷店の2Fは可動式のイベントスペースになっている。写真はアーティスト金氏徹平さんの展示の様子。

シンボリックな店舗空間から"深い購買体験"を導く

ジンズは近年、渋谷店だけでなく、首都圏を中心に特徴的な店舗を次々に展開している。その先駆けは"西日本の旗艦店"として2016年7月にオープンした神戸市の三宮店だ …

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