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デザインの見方

欠けている部分がある自分だからこそ、実現できたこと

東海林小百合

シェル・シルヴァスタイン『THE MISSING PIECE』(HarperCollins)

アメリカから帰国して日本でデザインオフィスも構え、仕事のオファーもそれなりにいただき、周りからは順風満帆に見えていたと思います。でも、その一方で自分の中では何か壊れていくものがあって…。それが2008年頃。それから約10年、短編映画を制作したり、日米を往復しながら一人体制に戻ってデザインを続けてきました。

そもそも私がアメリカに渡ったのは、日本の短大卒業後、デザインの仕事に就けず、4年制大学卒業の資格を取ってデザインの仕事をしたかったから。私はずっと自分の中に強烈なコンプレックスがあったんです。自分の才能のなさに失望したり、時には自分の仕事は本当に世の中に役に立っているのか、仕事をする意味がわからなくなったり…。そういう壁にぶつかっても乗り越えていくのがプロフェッショナルなのかもしれませんが、当時の私はそんなことを考えては立ち止まり前に進めなくなっていました。

素晴らしいグラフィックデザインを見たり、一生懸命仕事をしても、そのもがきからなかなか抜け出すことができずに、もうデザインを辞めようかとまで思っていたんです。そんな悩みを話したわけではないのですが、あるとき友人が「僕が好きな本なんだ」と言ってプレゼントしてくれたのが、シェル・シルヴァスタインの『THE MISSING PIECE』でした …

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