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編集長が見据える2018の動向

広告の次なるスタンダード――『ブレーン』編集長 篠崎日向子

『ブレーン 編集長』 篠崎 日向子

メディアや手法の垣根がますます希薄となり、各専門領域の知見を生かしつつも、統合的なコミュニケーション戦略が求められている。各専門領域、メディアにおいても組織や人の変革が求められている。宣伝会議発行の各誌の編集長に聞く。

2017年を振りかえってみると、広告が次のスタンダードを生み出すための、過渡期にあったように思える。そのひとつが、広告賞の刷新だ。カンヌライオンズは2018年に、全体を9つのコアトラックに再編するなど大きく刷新。日本ではACC賞が2部門を新設し、「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」と名称を変更した。

近年「広告」とは言い難いアウトプットが増え、広告賞ではどの部分を評価するのかが難しくなっている。その中で生まれ変わった広告賞が示す指針と受賞作品は、今後のクリエイティブに大きく関わってくるだろう。

この1年、広告において新しいチャレンジが見られたのは、メルカリなどスタートアップ企業だ。クリエイティブはもちろん、制作手法、業界慣習などにとらわれず、スタートアップ各社は自由な発想と独自の方法で広告活動に注力している。こうした新しいプレイヤーの動きが広告界の固定概念を変える一助になりそうだ。

新しい動きに呼応するように、2017年に誕生したエージェンシーは、そのあり方も変わりつつある。大手広告会社から独立した人がこれまで掲げてきたのは「企業の課題解決」。そこから「事業(ビジョン)創造」「企業の成長サポート」へと、クリエイティブの軸足が移っているのだ。広告会社も近年、事業を広げているが、その中ではなしえなかったビジネスモデルを自分たちの手で実現しようとしている。

「新しい地図」の登場も、広告界に大きな風穴を開けたと言えるだろう。制作チームもさることながら、新聞広告と動画は従来のファンだけではなく、多くの人の心をとらえた。広告とは企業やブランドのメッセージを伝えることが本来の目的だが、「新しい地図」は最近忘れていた広告を見たときのワクワクする気持ちを思い起こさせてくれた。見る人にこうした気持ちを喚起する広告を広告をいま一度考えていくべきだと思う。

そして2018年は、前述した新しい動きの中から、広告の次なるスタンダードが生まれてくることを期待したい。

昨年7月に開催した「ブレーン」の読者イベントではスタートアップの経営者、マーケティング担当者、ベンチャーキャピタルの3社が新しい広告のあり方について公開で議論を行った。

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