被災したピアノがメディアに生まれかわるとき
坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME
坂本龍一とアーティスト・グループ ダムタイプおよびソロ・アーティストとして活躍する高谷史郎による新作インスタレーションが、NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]で公開中だ。
《IS YOUR TIME》は、東日本大震災の津波で被災した宮城県名取市の高校のピアノに出会ったことから生まれたもの。坂本のアルバム『async』の音楽とともに、その被災したピアノを世界各地の地震データによって演奏することで、ものに還ったピアノを新たに地球の鳴動を感知させるためのメディアとして「転生」させることを試みる。展示空間では、物理的な音を感知することだけではない音楽を感じる場となるだろう。
坂本龍一 with 高谷史郎|設置音楽2 IS YOUR TIME | |
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開催中、2018年3月11日まで。NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]ギャラリーA |
生と死の境目をいく写真
荒木経惟 私、写真。
被写体をどれも特別視することなく、等しく日常のこととして撮影し、それらのもつ「生」の生々しさ、また「生」と切り離すことのできない「死」を捉えてきた写真家・荒木経惟。個展「荒木経惟 私、写真。」が、3月25日まで丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開催中だ。
本展では、腐食したフィルムをプリントするなどの、手が加わることによって生と死をより強く意識させたり、両者の境を撹乱させるような作品を中心に紹介する。本展のために制作された丸亀市出身の花人、故・中川幸夫へのオマージュとしての「花霊園」、友人の遺品であるカメラで撮影した「北乃空」などの新作も発表する。