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CREATIVE RELAY(PR)

味を図形化した、記号だけで成立する広告

相楽賢太郎

東京メトロの車内で、思わず目を留めてしまうこの広告。何とも言えない不思議な形が描かれている。これはクロレッツの味を図形化したもの。これまでにない広告制作に挑んだのは、相楽賢太郎さんだ。

今回制作したポスター

心理学の現象を応用して制作

今回、チャレンジングな広告を。というお話をいただいたので、なるべくいままでに見たことのない広告をつくろうと思いました。ただ、定着に変化を加えてもなかなか既存の表現から抜け出すのは難しいと考え、定着ではなく、制作工程自体に変化を加えることでオリジナルな広告をつくれるのではないかと考えました。

その前提で、僕が目指したのは「味を図形化し、記号だけで成立する広告」です。思い浮かべたのは、心理学の現象「ブーバキキ効果」。これは丸い曲線とギザギザの直線からなる2つの図形を被験者に見せて、どちらがブーバか、キキかと聞くと、98%の人が「曲線=ブーバ」「直線=キキ」と答えるというものです。この現象は"音(語感)の図形化"ですが、クロレッツでは"味の図形化"に挑戦しようと考えました。

具体的には、まず事前に約700パターンの図案を用意しました。それから約130人の方にガムを噛んでいただき、1人1フレーバーにつき5票、合計5フレーバーで味のイメージにマッチする図形に投票をしてもらいました。こうして、130人×5フレーバー×5票=約3000票を集め、投票数の多かった1位の図形を、そのフレーバーの"顔"として、5タイプのグラフィックを制作しました。デザインをコントロールできないのは不安でしたが、それも込みで楽しんでつくれました。

完成した広告にはテキストによる説明は載せませんでした。途中段階ではコピーライターの先輩にも相談して、コピーを入れることも模索しましたが、言葉が入ることでどうしても意味を規定してしまう。今回はもっと感覚的に接してほしかったのでコピーを入れることはやめ、"納得"の部分はWebサイトにだけ置くことにしました。

図形はデザイン的な圧を増すために網点にして、ガムの包み紙をイメージしたシルバー箔の枠をつけました。デザイン性を立たせるのではなく、あくまでもこの図形に目が行くように意識しました。

ブーバキキ効果で使われる図

投票の様子。

最初に用意した700パターンの図案の一部。

オリジナルミントのガムに近いかたちとして選ばれたもの。

相楽さんの仕事

「KINGOFMODERNLIGHT」ポスター

「KINGOFMODERNLIGHT」パッケージデザイン

ソフトバンク 広告

キリンビール/淡麗グリーンラベル「365flowers」

相楽賢太郎(さがら・けんたろう)
1985年新潟生まれ。アドブレーン、電通CDCへの出向を経てフリーランス。ヤングカンヌ2013デザイン部門ブロンズ、ONESHOW DESIGN、毎日広告デザイン賞、文化庁メディア芸術祭など受賞。

うろく
1981年沖縄生まれ。2006年より東京を拠点に写真活動を開始し、現在アマナ所属。

  • AD/相楽賢太郎
  • D/清水艦期
  • C/栗田雅俊
  • PG/清水大蔵
  • 撮影/宇禄
  • レタッチ/結城香織
  • フォトPR/尾見真哉
  • 制作協力/アドブレーン+クリエイティブアローズ+たき工房+Puzzle

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