写真家・奥山由之を再生させたある村の日常
奥山由之「As the Call, So the Echo」
2011年『Girl』で第34回写真新世紀優秀賞を受賞し、写真家として歩みだして6年目となる奥山由之。その最新作を展示する「As the Call, So the Echo」が、Gallery 916で11月18日から開催される。
前作『BACON ICE CREAM』を作った後、急に音が聞こえなくなり、目にするものの色がグレーにしか感じられなくなったという奥山。久しぶりにカメラを手にして、撮ったのは、友人が住む、東京から遠く離れた長野の村でのこと。そこで出会った人やもの、当たり前の日常が、彼の中に"写真が持つ気配"を再生させた。
本作は4つの章からなり、長野の村と、そこに住む友人が作り上げたプールでの出来事、そして吉祥寺キチムでの小さな舞台を記録した写真で構成。本展では約70点が展示される。また、併設の展示室では、映像作品の特別上映も行われる。



(C)Yoshiyuki Okuyama
奥山由之写真展「As the Call, So the Echo」 | |
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11月18日~12月24日 Gallery 916 |
注目のTAKT PROJECT 日本初個展
「SUBJECT ⇌ OBJECT」
2013年の設立以来、「DESIGN THINK+DO TANK」を掲げ、デザインを通して「別の可能性を作る」さまざまなプロジェクトを展開しているTAKT PROJECT。彼らの初となる個展「SUBJECT ⇌ OBJECT」が、11月18日からアクシスギャラリーで開催される。
TAKT PROJECTは、既存の概念を覆す実験的な自主研究プロジェクトを行い、その成果を国内外での展示やデザインイベントで発表してきた。さらに、その研究成果をベースに、さまざまなクライアントとのコラボレーション、プロジェクトを進めている。本展では新作他、日本初公開を含む7つの具体例が展示される。

pecopaco(モノプリ)
Photo:Masayuki Hayashi

COMPOSITION(自主研究プロジェクト)
Photo:Masayuki Hayashi

Ice Crystal(for SWAROVSKI)
Photo:Mark Cocksedge(デザインマイアミ出展 作品)
TAKT PROJECT「SUBJECT ⇌ OBJECT」 | |
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11月18日~12月3日 アクシスギャラリー |
没後30年 澁澤龍彥の大回顧展
「澁澤龍彥 ドラコニアの地平」
サドの著作をはじめ、マニエリスムやシュルレアリスムのような異色の文学や美術、思想を紹介し、60年代以降の日本の文化・芸術に影響を与えた澁澤龍彥。没後30年を迎えた今年、フランス文学者、翻訳、評論、エッセー、小説と多彩な執筆活動を展開した彼の足跡を新たな視点からたどる「澁澤龍彥 ドラコニアの地平」が、12月7日まで世田谷文学館で開催されている。
本展では、澁澤独自の文学表現活動を「澁澤スタイル」と位置づけ、展示室に澁澤龍彥自邸の応接間・書斎をイメージ再現。転機となったエッセー集『夢の宇宙誌』、代表作『高丘親王航海記』など300点を超える草稿・原稿や創作メモ類の自筆資料、愛蔵の美術品やオブジェ、和洋の蔵書などから、その表現活動の背景と博物誌的世界の魅力に迫る。
会期中には、朗読会や世田谷・松陰神社にあるノストスブックスによる「澁澤龍彥セレクト書店」の出店も行われる。

自宅応接間の凸面鏡に映る澁澤 1976年

書斎 撮影:原田寛

『夢の宇宙誌』 美術出版社 1964年
澁澤龍彥 ドラコニアの地平 | |
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開催中、12月17日まで。 世田谷文学館 |