IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

PR発想で進化する広告クリエイティブ

会社設立、事業提携⋯広告業界で進む広告とPR融合の動き

広告の企画にPR視点を取り込む動きが加速している。それに伴って、「クリエイティブPR」を専門にするクリエイティブエージェンシーが設立されるなど、新しい動きが広告業界の中で生まれている。その動きを3社の取り組みからレポートする。

クリエイティブPRの専門会社を設立

「いい広告クリエイティブができたのに、全く世の中に広まらなかった⋯」「クリエイティブができた後にPR会社に相談したら、文脈が全く違うものになってしまった」──いま広告制作の現場では、こうした残念なエピソードが後を絶たない。この問題を解決する方法は1つ。企画の最初の段階からメディアやSNSで取り上げられやすい文脈を作り、魅力的なクリエイティブと掛け合わせることで、PR視点を内包した広告を制作することだ。

そのためには、PRとクリエイティブの両方に知見やノウハウを持つ人やチームがプランニングをする必要がある。昨年から今年にかけ、PR領域を得意とするクリエイターが広告会社から独立したり、広告会社内にPR案件を手がける社内チームが設立される、プロダクションとPR会社が事業提携するなど、こうした要望に応える動きが各所で生まれている。

博報堂のPR戦略局から博報堂ケトルを経て昨年9月に「クリエイティブPR」の会社、神谷製作所を立ち上げた神谷準一さんは「PRと広告をハイブリッドさせることが、いま最もコスト対効果が高いコミュニケーション施策」と話す。

「SNSの普及により、人々は新聞やテレビをはじめとした従来メディアよりも、SNSに多くの時間を費やしています。そこに企業が商品やブランドの情報を拡散させようとした場合、SNSで1枚の写真と一言のコメントで表現できるよう、情報を凝集しなければなりません。

神谷製作所では、『What to say(何を言うか)』『How to say(どう言うか)』に加えて、『ニュース性』の3つの『セイ』によって、プランニングを行います。3つのセイが入った『キャッチコピー+グラフィック』の1枚絵を作ることで、メディアやSNSで話題になるコミュニケーションを設計・提案しています」。

企業発の商品情報を、メディアが自発的にニュースにしたくなるネタに加工するには技術が必要だ。同社では社内にコピーライター、プランナーに加えてメディア・通信会社の出身者らを抱え、PR計画戦略の策定から、ニュースリリース作成やメディアアプローチなどのPR実務、広告の制作まで一貫して行っている。「宣伝予算が少ない中小企業やスタートアップでも、ユニークなPR視点があればムーブメントを生み出せます。クリエイティブPRは、マス広告を出す予算がないクライアントにこそ広めたい手法」という。

神谷製作所

博報堂PR戦略局、博報堂ケトル出身の神谷準一さんが昨年9月設立。PRと広告を掛け合わせたクリエイティブPR戦略によって、話題になる広告/モノが売れるPRを実現する。コピーライター、プランナーと、メディア・通信会社の出身者らによって構成し、戦略策定からPR実務、広告制作まで手がける。


クリエイティブPRに必要な3つの「セイ」


神谷製作所 代表取締役 クリエイティブディレクター
神谷準一

PR&クリエイティブディレクター。2004年博報堂入社、PR戦略局に配属。2009年より博報堂ケトル。2016年9月神谷製作所設立。最近の仕事に、SONYアロマスティック又吉直樹原作ムービー、丸亀製麺「ハワイ入社式」、耳をふさがないイヤフォンambie「オープンワークPR」など


電通社内にも専門チーム

今年10月、電通社内にクリエイティブPRを推進する社内チーム「プロペル」を立ち上げたのは、電通 CDC/PRP局の嶋野裕介さんだ。「マス広告だけでは以前のように情報が広がらなくなっており、これまでマス広告を中心に出稿してきた大企業の間でも、PRへの関心は高まっています」と話す。嶋野さん自身、これまでトヨタ自動車の「プリウス試乗味ガム」キャンペーン(トヨタとロッテのコラボレーションでガムを開発し試乗につなげる)など、SNSでの話題性を組み入れた企画を多数手がけてきている。

プロペルを構成するメンバーは、PR出身、クリエイティブ出身、戦略出身、テレビ出身など多様なバッググラウンドを持つ。こうしたメンバーで、「語りたくなるファクト(Narrative Fact)」を起点としたキャペーン開発をしていくという。「PRが得意とする『リサーチや分析にもとづく、ファクトの発見』と、クリエイティブが得意とする『心を動かすストーリーテリング・表現技術』を組み合わせることで、話題になるファクト(=コアアイデア)を高い確率で作れると考えています」。

ファクトの形態は特に限定しておらず、ブランドや目的に合わせ、サービス、プロダクト、アクティベーション、表現上のモチーフまで幅広く手がけていく。プランニングの方法論として、「世の中視点」からブランドの最適な立ち位置を設計するための4要素を「WIND」と名づけ、実践していくという ...

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