瀧本幹也が向き合った地球とコルビュジエ
瀧本幹也写真展「FLAME / SURFACE」/Le Corbusier / Photographs by Mikiya Takimoto
広告写真や映像、最近では是枝裕和監督の映画に撮影監督としても参加し、注目を集める写真家 瀧本幹也。その卓越した感性と視点、グラフィカルな構成力で独特な世界観を見せる瀧本の個展が、10月に2つのギャラリーで開催される。
12日からキヤノンギャラリーSで開催される「FLAME / SURFACE」には、火山ガスが地表面で発光する現象をとらえた『FLAME』と、地球に存在する水である波をとらえた『SURFACE』から成る作品群が並ぶ。
これは、生命が誕生するはるか以前の地球の大地と、人類最先端文明の象徴としての宇宙開発をとらえた、ふたつの相対するシリーズからなる『LAND SPACE』。海が織りなす、絶えず揺らめく悠久な時間を表現した『GRAIN OF LIGHT』に続く新作となる。ここにあるのは、壮大な地球と地球の営みの喩えようもなく永い宇宙的な時間感覚。私たちは瀧本が体験したそれらを、会場で追体験することができるだろう。
一方、14日からMA2 Galleryで開催される「Le Corbusier / Photographs by Mikiya Takimoto」では、瀧本が敬愛する建築家、ル・コルビュジエをテーマに撮りためた新作を約30点展示。サヴォア邸やロンシャンの礼拝堂に数回渡って訪ねた瀧本は、かつてコルビュジエという人がいた空間で、彼が過ごした時間、見たであろう風景を感じながら、シャッターを切った。またモノクロームのネガにコルビュジエの配色に習い、印画紙へ投影する技法も用いている。瀧本の視点を通して、コルビュジエの時間と現代の時間とが交差する作品となっている。
キヤノンギャラリーでは、11月11日に、アートディレクター上西祐理とのトークイベントも予定されている(要予約)。
Le Corbusier / Photographs by Mikiya Takimoto | |
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10月14日~11月4日 MA2 Gallery |
瀧本幹也 写真展「FLAME / SURFACE」 | |
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10月12日~11月27日 キヤノンギャラリー S |
光と身体をとらえた瞬間
田原桂一「光合成」with 田中泯
日本の光とは異質なヨーロッパの光に出会い衝撃を受け、「光」そのものを探究するためパリを拠点に写真を撮り続け、高い評価を得た田原桂一。そして、独自の舞踊を求めたユニークな身体表現が注目された田中泯。そんな2人が創りあげる〈光と身体〉の展示「光合成」が、12月24日まで、原美術館で開催中だ。
パリで邂逅した2人は、光と身体の関係性の探究を始める。さまざまな都市や大自然の異なる光や大気、季節に反応するダンサーの姿を、写真家がイメージに焼き付けていった。この濃密なフォトセッションは1980年まで続いたが、生み出された写真は発表されることはなかった。2016年、2人は原点回帰を決め、写真集をまとめると同時に、36年ぶりに新作を撮り始めた。本展では、その神秘的なフォトセッションと取り組みを紹介する。会期中、田中泯のソロダンスパフォーマンスもある(要予約) ...