『ひこうき雲と私』や『梅雨のエキゾチック』といった独特の情緒的なネーミングで人気を呼ぶ、キリンのクラフトビール「グランドキリン」。このネーミングがどのように生み出されているのか、コピーライターの前田知巳さんに聞いた。

クラフトビールの間口を広げるネーミング
キリンビールのクラフトビールブランドである「GRAND KIRIN」(グランドキリン)シリーズは、「一本で満足できるスペシャリティ・プレミアムビール」というコンセプトのもと、2012年にコンビニ限定商品として発売された。その後、各コンビニとコラボレーションした商品でターゲットの幅を広げ、2015年からは日本ならではの季節の移ろいと共に楽しめる季節商品の展開を始める。その第1弾となる『GALAXY HOP』は、「夏の暑さを吹き飛ばす、爽やかさ香るグランドキリン」として発売された。
ここで好評を得て、以降ネーミングやパッケージをより季節感を打ち出したものへと変更していく。秋の夜長にゆっくりと味わうコンセプトの『十六夜の月』では、その名の通り大きな満月がパッケージに描かれ、お月見の季節に合わせた商品になっている。また、2016年の『十六夜の月』からは販売チャネルの制限を取り払っている。その背景には、クラフトビール市場において、ブランドイメージを幅広く受け入れられるものへと転換する狙いがあったという。
その後も冬に向けて、夜空に飛び出すようなワクワクした気持ちを表現した『夜間飛行』、冬の夜更けにゆっくりと味わえる『梟の森』、うららかな春の昼下がりをイメージした華やかな味わいの『うららかをる』など、日本の四季それぞれに合ったコンセプトの商品を開発してきた。
今年に入ってからは、醸造家のこだわりと遊び心を表現するブランドへとさらに刷新を図った ...