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デザインの見方

その『場』だからこそ生まれるクリエイティブ

柿崎裕生氏

ドイツ・ベルリンにあるチェックポイント・チャーリー 版権:Jorge Felix Costa/123RF

僕は東京藝術大学絵画科油画の出身です。油画の専攻といっても、当時、学生の多くは油画を描かずに映像やインスタレーションをつくっていました。僕も写真を撮ったり、油画の他に自分に合っていることはないかと模索する日々でした。

卒業直前、ベルリンに渡った友人がアーティストとして活動を始めたので、卒業旅行で遊びに行ったんです。友人はベルリンのさまざまな場所を案内してくれました。そのときに訪れた場所が、「チェックポイント・チャーリー」です。ここはベルリンが東西に分裂していた時代に境界線上に置かれていた国境検問所。東西ドイツ統一後は撤去されましたが、跡地には小屋が建てられ、現在もベルリンの観光地になっています。

ベルリンは歴史的にいろいろなことがあった土地なので、お墓のモニュメントや記念碑、資料館などが多数あります。その中でもチェックポイント・チャーリーは小屋の上に表裏2枚の写真が掲げてあるだけ。とりわけ異様に感じました。写真に写っているのは、アメリカ兵とソ連兵。アメリカ兵が旧ソ連地区側を、ソ連兵は旧アメリカ地区側を向いています。これを知ると、重い歴史を背負っていることが伝わってきます。

普段の広告の仕事では世界観をつくりこんでいき、トーン&マナーをコントロールしますが、チェックポイント・チャーリーは道の真ん中にポーンと立っていて、何の演出もない。その無機質さが、ことの重大さを一層際立たせていると感じました ...

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