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あれから10年

純度の高いものをつくり続ける

西岡ペンシル

昨年から今年にかけて、設立から10年目を迎えたデザインオフィスやクリエイティブエージェンシーが多く見られます。10年前に独立した人はどんな背景から、どんなことを考えて、自分の場所を築いたのか。そして、この10年の間にどんな変化があったのか。第8回目は、西岡ペンシルさんにお話を伺いました。

西岡ペンシル(にしおか・ぺんしる)
西岡ペンシル代表。金沢美術工芸大学商業デザイン科視覚デザイン専攻卒。電通にて数々の広告キャンペーンを手がけた後、西岡ペンシルを設立。鳥瞰図師の祖父、京友禅悉皆屋の父というルーツを持ち、和様の美から受ける刺激・素養をグラフィックデザインやアートの思想に通じるものとして生かしてきた。企業の広告やキャンペーン、ブランディング、ロゴデザインからテキスタイルデザインまでさまざまな分野で仕事をする。
Photo : Kenichi Shimura/parade/amanagroup for BRAIN

設立当時の西岡さん

──10年前に独立した理由は?

入社後、14年目に独立しました。電通ではいい仕事をたくさんさせてもらいましたが、その年次になると“大人の仕事”が増え、よくも悪くも予定調和なものに仕上がることが多くなっていました。また、僕は社内では声をかけてもらう機会も多かったのですが、一歩外に出ると名前や仕事も知られていない。そういう状況に甘んじていることを会社のせいにしている自分が嫌で、すべて自分で決めて、自分の責任で仕事がしたいと思うようになったんです。それから、社外のいろいろな人たちと仕事をしてみたい気持ちも大きかったですね。そんなことから、あるとき“今かな”と思って独立を決めました。

──最近は、文様をテーマとしたテキスタイルや着物のデザインが増えています。

独立した当初は広告に限らず、例えスケールが小さくても「純度が高いもの」をつくりたいと思っていました。当時考えていたのは、文房具。妻が原宿で開いていた雑貨店を僕も手伝っていたので、そういうものづくりが面白いと感じていました。一方で、父と祖父が着物の図案家だったこともあり、着物の文様などには馴染みがありました。

文様のデザインを始めたのは、巻貝の螺旋の法則など自然界のデザインの法則を見出し、それに則って考えれば、自分の想像を超えるデザインができるのではないかと思ったことからです。ちょうどその頃、パリで資生堂の仕事などをしていたジャン・ポール・グードの個展を見たことも大きかったです。アートディレクターでありながら、写真も撮るし、アーティストとして立体作品や舞台衣装もつくっている。そんな彼の仕事を見て、アートディレクターであっても、何をやってもいいんだなと思ったことも後押しになりました ...

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