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海外広告賞から読み解く 世界のクリエイティブ

カンヌ&One Show ステージ上で語られたこと

広告賞で開催されるさまざまなセミナープログラムや、壇上の受賞者のスピーチ。今年のカンヌライオンズとOne Showでは何が語られたのか。

今年のカンヌライオンズで最も「心を打つスピーチ」と賞賛されたのは、Droga5の創設者 デイビッド・ドロガのLion of St.Mark(広告界に貢献した個人に贈られる賞)の受賞スピーチだ。「自身のWantよりもCareを見つけよ」。自身の欲望よりも人のために何ができるかを考えることが、キャリアを成功させる上で近道だという意味だが、TAP PROJECT*をはじめ数々の社会貢献型キャンペーンを成功させてきたドロガらしいスピーチだ。

*レストランで無料で出される水に課金することで、水道がない地域に募金をするドネーションプロジェクト。

    デイビット・ドロガによるLion of St.Mark受賞スピーチ。

    何かを望む(want)こと、つまり自身のキャリアを望んだり自分のしたいことについて考えるのは、意味のないことです。それよりもあなたが本当に気にかけ、大切に思う(care)ものは何かに気づきなさい。それがわかると、行動が変わります。自ら学び、よりよくあろうとし、周りの人たちを支えようとするようになります。それが私がキャリアの中でしてきたことであり、私たちのやるべきことのすべてです。

    カンヌライオンズ/デイビット・ドロガ Lion of St. Mark受賞スピーチより

セミナーでユニークだったのは、マッキンゼー&カンパニーによる「クリエイティビティの経済学」の研究発表だ。広告賞を獲る広告はクライアントのビジネスにも貢献していることを、独自のデータ分析からプレゼンし、関心を集めた。

    我々は2001年から2016年までのカンヌライオンズにおける受賞データを分析し、独自の「Award Creativity Score(ACS)」を開発しました。ACSは受賞数、受賞カテゴリーの幅広さ、受賞頻度の3つの要素で構成される。その結果、ACSスコアが高いほど企業の業績と相関があることを発見しました。

    カンヌライオンズ/マッキンゼー&カンパニーセミナーより

日本からは、電通と博報堂がそれぞれセミナーを開催した ...

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今年のカンヌライオンズを象徴する3つの視点
世界のクリエイティブはどこに向かっているのか
世界の同世代と戦って僕たちが感じたこと
東京の企業にイノベーションを起こしていく
成功している時こそ先手を打ち自己破壊せよ
設立5年目で定まったイノベーションの定義
日本受賞者の声
カンヌ&One Show ステージ上で語られたこと(この記事です)
未来の自動車による移動を体感する「HONDA.GREAT JOURNEY.」
点字のスマートウォッチ「DOT.THE FIRST BRAILLE SMARTWATCH.」ほか
公衆電話がデジタル口座になる「PAYPHONE BANK」ほか
『店舗の炎上写真』をあえて使用した広告「BURNING STORES CAMPAIGN」
青春ストーリーの裏側で見過ごされるもう一つのストーリー「EVAN」ほか
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「WE’RE THE SUPERHUMANS」
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