みんなに、愛されてる?
この業界に入ってから好きになったコピーはたくさんあるけれど、それらはコピーライターとして「学ぶ」という意識もあって好きになったもので、もちろんそれは悪いことではないのだが、職業意識を持って感銘を受けたコピーを「名作」として選ぼうと思った時に、ふと10代の僕が疑わしそうな目でじっと40代の僕を見ているのに気付く。
名作コピーの時間
『燃えよドラゴン』/1973年
◯ C/ブルース・リー
講談社/1989年
◯ C/佐藤澄子
『3年B組金八先生』
◯ C/金八先生(武田鉄矢)
ぼくは、人生のある時期まで、とにかくコミュニケーションがへたでした。そんな私が広告会社に入り、コピーライターになりました。
伝えることが苦手なのに、コピーライターという肩書をもった私。書くコピーすべてがボツになりました。その当時私につけられたニックネームは「最もエコでないコピーライター」。紙がムダということ。
「……自分には才能がない」と毎日のように思い悩みました。コトバは才能で決まると思っていた私は、途方にくれていました。一方で、同じころに入社した人たちはどんどんいい仕事をしていく ...