クリエイティブカンパニー「フェロールーム」が誕生したのは1960年のこと。創業のきっかけは、58年に車を初めて発売した自動車メーカー SUBARU(当時、富士重工業)から「車のPR誌を手伝ってくれないか」と相談をされたこと。以来、同社はSUBARUと共に、さまざまなクリエイティブの制作に挑戦してきた。
SUBARUと共に成長してきた57年
創業以来、自動車メーカー SUBARUとの関係を深めてきたフェロールームは、案件のかなりの割合がSUBARUグループの仕事。PR誌の制作からはじまり、その後は販促プロモーション、自動車カタログ、そしてWebや動画の制作、モーターショーの展示と、同社はSUBARUの事業・コミュニケーション領域の拡大に対応することで、会社として成長してきた。創業から57年目を迎え、ハウスエージェンシーではなく、また広告会社を挟まずに"クライアント直"で仕事をしているという点で、フェロールームは広告界においてユニークな存在になっている。
SUBARUと"二人三脚"のような形で成長してきたフェロールームの強みは、SUBARUブランドと商品に対する圧倒的な知識の深さだ。「クライアントを広げたほうがいいのではないかと考えた時期もありましたが、SUBARUさんと長年仕事をしてきた中で築いたブランドと商品に対する理解と知識は当社ならではの強みです。そのため、クライアントを広げるのではなく、培った知識を生かし、そこに新たな手法を組み合わせることで仕事の幅を広げていくという選択をしました」と、フェロールームのストラテジックプランナー 高橋正之さんは話す。
浅く広くではなく、一点突破で深く掘るスタイルを選んだフェロールームは、クライアントは絞りながらもクリエイティブの技術と表現を掘り下げてきた。いまでは企画の上流から参加し、SUBARUのスタッフをあらゆる方面からサポートすべく全社で取り組んでいる。
「知識」「デザイン」という強みに「テクノロジー」を組み合わせる
紙媒体の制作からスタートし、現在、同社はWebやCGを使った動画など、"自動車"という1つのコンテンツを通して、さまざまなアウトプットを生み出している。クリエイティブディレクター 栗林洋平さんはコピーライターというバックボーンをWebや動画制作にも生かしている。
「大切にしているのは"お客さまに商品の魅力をわかりやすく伝えること"。そのための表現や媒体は問いません。"知識"という武器をベースに、職種や肩書きを超えてさまざまな案件に挑戦できるのが弊社の特徴です」。
CGI プロデューサー 明神正樹さんはSUBARUから「カタログの写真に3DCGを活用できないか」と依頼を受けたことをきっかけに、社内での3DCGの取り組みを本格化させた。現在制作しているのは、セールスをサポートするいわば"デジタルショールーム"。車の画像を載せるだけでなく、背景やボディカラーやグレードをスムーズに変更できるシステムを構築した。
「長年、紙のカタログ制作で培った商品への知識とデザイン力という強みがあるから、そこに"テクノロジー"を組み合わせることで、時代に合わせた新たなクリエイティブを生み出すことができていると思います」。
活躍の場も国内から海外へと広がっている。アートディレクターの佐藤未歩さんは現在は海外のモーターショーのブランドブックや中国向けのカタログのデザインを担当している。「実際に現地へ行って、自分なりに感じたことを入れ込みながらつくっています。文化の違いなどで難しいと感じることもありますが、国や媒体によって、より良い表現は何かを考える面白さは大きいです」。
また紙媒体だけではなく、商品や技術の解説動画の海外バージョンの制作など海外案件も増えており、2014年には中国・北京に支社も開設している。
「クライアント直」という仕事スタイルをとるフェロールームでは、SUBARUの宣伝・ブランド担当者だけではなく、技術者など現場の人たちと向き合うことも少なくない。「弊社には営業もいますが、普段の仕事は営業も挟まずに担当者と直接やり取りすることがほとんどです。意欲溢れる担当者の方と対話を重ねることで課題を見つけたり、新たな仕事が生まれることも多く、自分のスキルとやる気次第で仕事を広げることができます」(高橋さん)。
自動車広告黎明期から新しい表現に挑んできた57年の伝統、新しい挑戦から生まれた革新──。フェロールームには、それらが融合した新しいものづくりの場ができあがっている。
お問い合わせ先
フェロールーム
東京都新宿区四谷3丁目12番地フロンティア四谷4F
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