同棲を解消したら最大10万円をお支払い!?業界初、同棲カップル向けの「同棲解消ホケン」を昨年11月に発表し、ネットをざわつかせたグッドルーム。同社初の本格的な広告・PR施策として、思い切った企画を実施した背景とは。
「賃貸×リノベーション×IT」で新規市場を開拓
「グッドルーム」は、リノベーションやデザイナーズ物件など、こだわりの賃貸物件を紹介するお部屋探しサイト。これまでも感度の高い人を対象にした賃貸サービスは存在したが、グッドルームは自社でリノベーション済みの賃貸物件を提供することでハードルを下げ、さらに女性をメインターゲットに展開している点が特徴だ。
代表取締役社長の小倉弘之さんの経歴はユニークだ。東京大学でマーケティングを学び、卒業後は竹中工務店に入社。その後、ボストンコンサルティングに転職し、2009年にリノベーションブランド「TOMOS」を展開するハプティックを立ち上げ、2013年にグッドルームを設立した。
小倉さんはグッドルームについて「設立のきっかけは7年前、自分のマンションをリノベーションし、オーナーとして部屋を貸し出す経験をしたことです」と話す。
無垢材を使用した住み心地のいい部屋だったが、リノベーション物件は伝え方が難しく、一般の仲介業者だとクレームを嫌って積極的に提案してくれない。一方、一般の物件探しポータルサイトだと、新築物件が上位に表示され、築年数で一律検索される仕組みの中だとなかなか見つけてもらうことができない。こうした経験を通じ、リノベーションの魅力や価値を写真や文章を使ってきちんと伝えていくサイトとしてグッドルームを立ち上げた。
また、内見のネット予約やAIによる部屋探しサポートを導入するなど、デジタル技術によって部屋探し自体をより楽しく、快適にアップデートすることにも取り組んでいる。
現在、グッドルームは一人暮らしやカップルの同棲のための物件探しに利用されることが多いという。「グッドルームはスタッフの大半が女性で、利用者も女性が多い。カップルの場合はデートを楽しむ感覚で物件を探してもらえたらと思っています」。
新規ユーザーを広げるステージへ SNSの次の手法を模索
サービスをスタートしてから約3年が経過するグッドルームは、これまでFacebookページの運営を中心にファンを増やし、会員数は現在35万人にのぼる。
同社メディア事業部長の佐藤志穂さんは「写真とコメントを組み合わせて部屋を紹介するので、物件情報自体がコンテンツ化していて、SNSと親和性が高いんです。通常の賃貸サイトは物件を探すタイミングで見られますが、グッドルームは読み物感覚で長期にわたって見てもらっています。TwitterやInstagramアカウントの運営、さらにFacebook広告も組み合わせながら、会員数を伸ばしてきました」と話す ...