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新しい広告主企業の新しい広告の使い方

求めていたのはサービスの開発思想を伝えるCM

LINEモバイル

キリンジの曲『エイリアンズ』が流れるなか、無言でこちらを見つめる女優のんの姿が話題を呼んだLINEモバイルのCM。同業他社のCMとは一線を画すシンプルな演出にはLINEモバイルの世界観が込められていた。

テレビCM「愛と革新。(デビュー)」篇(企画制作:電通+ワトソン・クリック+春企画東京)。「愛と革新。」のタグラインはコピーライターの児島令子さんによるもの。

開発背景を伝えるオリエンに 最大の力を注いだ

LINEモバイルは、LINEが昨年9月に開始した新たな格安SIM(MVNO)事業である。LINE、Twitter、Facebook、InstagramなどのSNS系サービスがカウントフリーで「使い放題」なのが最大の特徴だ。

テレビCMを開始したのは、サービススタートから半年後の2017年3月のこと。LINEおよび関連サービスの広告を長年担当してきたLINE マーケティングコミュニケーション室の豊田隆久さんは「最初の半年はサービスを磨き上げ、アーリーアダプターに満足してもらえる状態を生み出すことに注力してきました」と話す。

CM放映を当初から3月に設定した理由は、通信業界が最も活況になるシーズンだからだ。このタイミングに合わせて、全国のビックカメラとヨドバシカメラにて即日受渡しカウンターの設置を開始した。「その時期にCMを打つことで、量販店とオンラインの販売の両方を促進する狙いがありました。CMのゴールは、LINEモバイルの事業成長にドライブをかけること。CMは、契約者を伸ばすためのきっかけという位置づけで考えています」。

CMに出演しているのは女優の"のん"。キリンジの曲『エイリアンズ』が流れるなか、白シャツを着たのんさんがスマートフォンを握りながら、まっすぐカメラを見つめる姿が話題を呼んだ。情報も最小限にそぎ落とし、「LINE・SNS使い放題 ¥1,110~」という説明と、最後にタグライン「愛と革新。」が出てくるのみだ。

このCMのクリエイティブディレクションを担当したのはワトソン・クリックの山崎隆明さんだ。CM制作にあたっては、「オリエンに一番時間をかけました」と豊田さんは話す。「まずお伝えしたのは、LINEモバイルの世界観や我々が思い描くコンセプトです。複数回お会いし、理解していただくことに努めました」と話す。

LINEモバイルを表すキーワードとして豊田さんが伝えたのは「シンプル」と「チャレンジャー」 ...

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