編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
坂口恭平『けものになること』
(河出書房新社)
- 装幀/佐藤亜沙美
坂口恭平さんの新作小説は、表紙に溢れ出た言葉とタイトル通り"けもの"を思わせる写真が異彩を放っている。「坂口さんがわずか8日間で304枚を書き上げた作品。まるで憑依したようなただならぬ熱量をそのまま形にしたいと思い、ゲラを読んだ直後に一気にデザイン案をつくりました」と、ブックデザイナー 佐藤亜沙美さんは話す。
カバーの手描きの文字は、坂口さんが最初に描いた1枚目の原稿だ。この原稿があまりに素晴らしかったので、編集者が「是非、書いてください!」とお願いしたという。「この本にとって核になる部分。内容もさることながら書き出した瞬間の熱量がほとばしっていて、絵としてのエネルギーもとてつもなく強い。編集者の意向もあり、カバーに入れることにしました」。
写真は坂口さんが1枚目の原稿と一緒にSNSにアップしていたものを見て、これしかないと思い、カバーに入れることを提案したという。オリジナルの毛皮の帽子をかぶった写真がタイトルと絶妙な組み合わせに。さらに表紙にも毛を思わせるテクスチャーを使い、全体的にそこはかとなく"けもの感"を放つ本に仕上がった。
PACKAGE
淡麗グリーンラベル春うららデザイン缶
(キリン)
- AD+I/渡邉良重
キリンビールは、「淡麗グリーンラベル春うららデザイン缶」を今年2月、3月に期間限定で発売した。"陽気でうららかな春"をコンセプトに、2月はスミレ(表面)とアネモネ(裏面)、3月はパンジー(表面)とラッパスイセン(裏面)といった春の花をモチーフとしたデザインになっている。
花のデザインを手がけたのは、キギ 渡邊良重さんだ。「これまで桜など花をモチーフにしたビールのデザイン缶の多くは、パッケージ全体に花が散らばり、フワッとした印象。今回はそうではなく、1輪1輪がすくっと立って、テーブルに1輪挿しを並べたような感じで見せられたらと思いました」。
当初はもう少し抽象的で、かわいいデザインだったが …